直感的操作でスムーズなアプリ運用を実現 「Yappli」の特徴とは
これまで店舗を中心にビジネスを展開してきた企業・ブランドの中には、エンジニアのリソースを十分に有していないケースも存在する。株式会社ヤプリは、このような企業・ブランドが、容易にスマートフォンアプリを導入できるノーコードのアプリプラットフォーム「Yappli」を提供している。
「Yappliは、プログラミングをしなくてもiOS向けのApp StoreやAndroidアプリストアに申請できるスマートフォンアプリを制作できます。多くの開発費用や時間をかけずとも、企業・ブランドと顧客の新たなコミュニケーション創出が実現可能です」(神田氏)
神田氏は、Yappliの特徴について次のように解説。
- 最短1ヵ月でiOS・Android双方に対応したスマートフォンアプリをリリースできる
- 技術者でなくても、直感的な操作で運用ができる
- クラウドサービスのため、システム運用が容易である
- ヤプリの専門スタッフによる、充実した運用サポートを受けることができる
「コードを書かずに、SNSやブログを更新する感覚でスマートフォンアプリの運用ができるため、デジタルの専門人材でなくてもアプリ担当者として活躍することが可能です。すでに導入実績は750以上を記録しています」(神田氏)
スマートフォンを介して顧客と長期的に濃密な関係構築を
続いて神田氏は、コロナ禍以降の企業・ブランドを取り巻く環境に触れ、スマートフォンアプリの大切さを次のように説いた。
「2020年から2021年にかけて、思うように外出できない状況が続き、ECで買い物をする顧客の数は急激に増加しました。2022年は人の動きも少しずつ戻りつつありますが、この数年で、多くの顧客がオンラインを通してより良い買い物体験ができることを知り、EC市場も需要に応じて進化を遂げています。この数年で企業・ブランドの認識も変わり、オンラインの販路は『なるべく強化しよう』というものから『強化しなければならないもの』になったと言っても良いでしょう。こうした環境の変化を理解し、打ち手を講じる必要があります」(神田氏)
とは言え今の時代、顧客と接点を創出できるチャネルは多岐にわたる。ウェブ、SNS、メルマガ、アプリ、店頭などさまざまな場をどう使い分けるかは、運用者にとっても悩みの種のひとつと言えるだろう。
「当社にも『メルマガとアプリの情報配信をどう使い分けるべきか』といった質問は、日々多く寄せられています。そこで意識すべきは『コミュニケーションの濃度』です。ツールごとの特性やメリットを理解すると、役割分担がしやすくなるでしょう。
検索やSNSを介してECに流入した顧客とより長期的に深い関係を築くには、スマートフォンアプリがお勧めです。ダウンロードしてもらい、スマートフォンのホーム画面に企業・ブランドのアイコンが日常的に表示されている状況を作り上げれば、再訪を促したり、ブランドを思い出すきっかけを生みやすくなります。プッシュ通知を活用すればリアルタイムなコミュニケーションもできるため、ほかの手段より緊急性の高い情報を届けることに適している点も特徴です」(神田氏)
継続的なアプローチを実現できるスマートフォンアプリは、LTV向上や「ファンを増やす」といったブランド育成にも役立てることができる。上手に使えば、メルマガよりも迅速でありながら、SNS以上に密なコミュニケーションを創出できるツールであると言えるだろう。
草花木果・UNDER ARMOUR事例に見る、「使いたい」と思われるスマートフォンアプリの作りかた
次に神田氏は、スマートフォンアプリで売上を伸ばすTipsとして、「快適なUI/UX」「高速PDCA」「パーソナライズ」の3つを紹介。それぞれ具体例を挙げながら、解説を進めた。
1. 快適なUI/UX
スマートフォンアプリの使い勝手や導線作りに影響するUI/UX。神田氏は「どこに何があるのか、直感的にわかりやすくなっていることが非常に重要」とした上で、品質の高いUI/UXを提供する2社の例を紹介した。
「自然派の化粧品を扱うブランド『草花木果』を運営する株式会社キナリ様は、『商品の良さをしっかり伝えるには、スマートフォンアプリが向いている』と話していました。成分へのこだわりや、ECでは伝えることが難しかったスタッフの本音を届け、より距離の近いコミュニケーションを実現しています」(神田氏)
コンテンツを充実させることは、オンラインで顧客交流を図る上で大切な取り組みのひとつだが、EC上で導線を増やしすぎるとCVRの低下や離脱につながってしまう恐れがあるため、不安を抱くケースも少なくないだろう。企業・ブランドに対し、一定の支持を寄せる顧客がダウンロードするスマートフォンアプリでは、コミュニケーションの深化に舵を切るといった工夫も施しやすい。
「草花木果では、スマートフォンアプリを用いてマイページへのスムーズな遷移や、定期購入者の操作性向上を実現しました。結果、スマートフォンアプリ経由の再購入率が80%を超えています」(神田氏)
スポーツ用品メーカー「UNDER ARMOUR」では、スマートフォンアプリダウンロード後の再起動率維持のため、ダウンロード後の日数に応じてクーポン配布やプッシュ通知を送信。利用者登録による好みの情報配信サービスも提供している。
「スマートフォンアプリは、ダウンロード翌日以降の再訪率維持も意識しなくてはなりません。平均値は5~20%程度と言われていますが、UNDER ARMOUR様は5%だった再訪率を50%にまで押し上げています。再起動したいと思ってもらえるようなアプローチが上手にできている好例と言えるでしょう」(神田氏)
自社で絶えずPDCAを回す坂善商事 店頭からのダウンロード促進施策も鍵となる
2. 高速PDCA
顧客の来店・購入状況や世の中の流れに合わせ、リアルタイムかつ柔軟なアプローチができるのが、スマートフォンアプリの特徴だ。これを存分に活かすには、PDCAサイクルをしっかりと回せる体制作りが欠かせない。神田氏は、ここで坂善商事株式会社の事例を紹介した。
大きいサイズの衣類を扱う「サカゼン」を展開する坂善商事。同社はYappliを用いて、自社でスマートフォンアプリのリニューアルを実現。顧客が使いやすいよう、常日頃からブラッシュアップを重ねていると言う。
「坂善商事様は、顧客がスマートフォンアプリをどう使っているか徹底的に分析し、小さな改善を繰り返しています。たとえば商品検索ボックスの配置を変えたり、タブ機能を用いて目的に応じた情報の出し分けを行ったり、店頭にてワンタップで会員証表示ができるようにしたりといった具合です。 また、同社はスマートフォンアプリの価値を生む施策展開にも積極的です。スマートフォンアプリ内限定のタイムセールを実施したり、ガチャ機能を付与してスタンプやクーポンを配布したりと、顧客にメリットを感じてもらえるような提案を行っています」(神田氏)
坂善商事では、店舗スタッフによる顧客へのダウンロード促進施策も実施。接客時にスマートフォンアプリの良さを伝えることで、ダウンロード数を前年比7倍に伸ばすだけでなく、スマートフォンアプリ経由の売上をリニューアル後3ヵ月で250%に成長させている。
「スマートフォンアプリの利用動向は、リアルタイムで得られる貴重な顧客情報です。こまめに分析し、速やかに施策を講じることで坂善商事様は大きな成果につなげています」(神田氏)
3. パーソナライズ
Yappliでは、パーソナライズ施策も実現可能だ。スマートフォンアプリの利用者個人に向けてメッセージを送っているような表現を施し、企業・ブランドに対する愛着を増幅させることで、LTV向上に貢献する。
「スマートフォンアプリダウンロード時に入力したフォームの情報に応じて情報を出し分け、顧客の動きや嗜好に応じたアプローチを実現しています。前出のUNDER ARMOUR様では『自身が行うスポーツ』や『よく行く店舗』を登録することで、関連グッズの出し分けや情報のセグメント配信を実施。企業・ブランド独自のシステムやデータベースとも連携できるため、さまざまな角度からOne to Oneのマーケティングを実現できます」(神田氏)
ヤプリは、2021年10月にノーコードのCRMツール「Yappli CRM」をリリースしている。同ツールはYappliと連携した顧客・ポイント管理、スマートフォンアプリ上のCRM施策をワンストップで実現するものだ。
「たとえば商品検索をした顧客に対して、該当商品を含むコーディネートの提案をしたり、購入者にお礼のメッセージと併せてアンケート回答をお願いしたりといった施策展開が可能です。従来のMAツールやCDPツールよりも容易な連携を実現し、リアルタイムでアプローチできる点がYappliとYappli CRMを利用いただくメリットと言えます」(神田氏)
アンケート収集、オーダースーツ完成報告、法事の準備をレクチャー 多彩なYappli活用事例
ここで神田氏は、最新のYappli導入事例として株式会社オールハーツ・カンパニー、株式会社ザザホラヤ、株式会社はせがわを紹介した。
オールハーツ・カンパニー
猫の形をした高級食パン専門店「ねこねこ食パン」などを手掛けるオールハーツ・カンパニーでは、顧客の声を積極的に拾うためにスマートフォンアプリ内の目立つ位置にアンケート依頼を表示している。
「『お客様の声を聞かせてください』とアプローチするだけでなく、アンケート回答者にはポイントを付与しています。こうすることで、声の可視化と施策反映の活性化を実現。加えて、購入履歴に応じて関連性のある施策をプッシュ通知でお届けするようにしています」(神田氏)
ザザホラヤ「ORDERBOX」
ザザホラヤが展開するオーダースーツブランド「ORDERBOX」では、顧客のオーダースーツが完成した際の連絡を、スマートフォンアプリのプッシュ通知で行っている。
「従来は電話連絡が基本となっていましたが、ビジネスパーソンは忙しくて電話を取ることができないケースも多々あります。顧客の好きなタイミングで見ることができるプッシュ通知は、確実に情報をお届けする手段としても有効です」(神田氏)
はせがわ
「お仏壇のはせがわ」でお馴染みの同社は、故人の命日を登録するスマートフォンアプリを制作。法事のタイミングやその際に必要な機材や準備などの情報をプッシュ通知で送信する機能を提供している。
「法事はこれまでに経験したことがなく、何をすべきかわからないという顧客も多く存在します。はせがわ様は、適切なタイミングで求められている情報をお届けし、継続的なコミュニケーションを図っている点が特徴です」(神田氏)
スマートフォンアプリは、今や「提供していたら有利になるもの」から「提供していなければ不利になるもの」へ存在意義が変わりつつあると言えよう。神田氏は、最後にスマートフォンアプリのありかたを考える企業・ブランドに向けてこのようなアドバイスを送り、セッションを締めくくった。
「『スマートフォンアプリ制作はハードルが高いのではないか』『運用が大変そう』と思われる方もいるかもしれませんが、当社はスムーズな導入・リリースをサポートします。スマートフォンアプリを使ったモバイルマーケティングが加速すれば、顧客と円滑なコミュニケーションを取ることも夢ではありません。目的に応じて専門スタッフがオリジナルのプランやサンプルを提案するなど、柔軟な対応を行っているため、興味のある方はぜひご相談ください」(神田氏)