GA4で直帰率の定義が変更 新たな分析ツールとして活用しよう
今回のトピックスは、Google アナリティクス 4(GA4)の直帰率について。従来のユニバーサルアナリティクス(UA)では、あるサイトの1ページを閲覧したのみで離脱することを「直帰」とし、そのセッション数をすべてのセッション数で割った値が「直帰率」となっていた。1ページめで離脱するのは、ユーザーは閲覧したページで目的が果たせなかったのではないかと推測できるから、直帰率の高さは改善の対象とされることが多かった。
「GA4に切り替わる際に、多くのお客様からお問い合わせをいただきました。ランディングページ(LP)のパフ ォーマンスを測る重要な指標のひとつだったため、戸惑う方が多かったようです。どうにかしてGA4でも計測できないか、BigQueryを活用し生のデータで直帰率に近いものが導き出せないかなど、ご相談がありました」
ところが2022年7月に、GA4の探索レポートに直帰率が復活。だが、従来の定義とは異なると言う。
「GA4に切り替わっても、UA時代と同じデータを計測したいという気持ちはわかりますが、むしろ根本的な分析の目的を問い直す良いタイミングだととらえるべきではないでしょうか」
LPは、主に広告クリエイティブからの誘導先となる。広告費を支払って広告を出稿するのだから、着地点となるLPにもコンバージョン率など成果が厳しく問われるわけだ。LPO(ランディングページ最適化)との言葉もあるほど、UIUXを突き詰める。そのLPの成果を測る重要指標だった直帰率の計測が必須となるわけだが。
「UAの直帰率は、次のページへ遷移しなかったことを意味するのですが、この指標が本当に有効なのかとの疑問は以前からありました。わかりやすい例をあげれば、LP内ですべてが完結する場合、パフォーマンスを発揮していたとしても、UAで言うところの直帰率は高くなる傾向にあったわけです」
つまり、直帰率でLPのパフォーマンスを測ることができる場合とそうでない場合があった。後者の場合が多数を占め、そもそも業界内でも「UAにおける直帰率は意味をなしていないのではないか」との認識も強まっていた。では、GA4ではどのように変わったのだろうか。「GA4ではエンゲージメントが基本指標になり、直帰率という名前の指標が復活しましたが、あくまで中身は(非)エンゲージメント率です」
具体的には次の3つが起きなかったセッションが非エンゲージメント、いわゆる直帰となっている。従来よりも条件が広げられている。「実際のユーザー行動に近いものを測る指標になったと言えると思います」
- そのページに10秒以上滞在したか
- コンバージョンが発生したか
- 次のページへ遷移があったか
GA4ではLTVの指標が追加されたり、機械学習が使えるようになるなど、大きなアップデートが話題になりがちだ。しかし今回取り上げたように、UAで問題視する向きのあった指標の定義が変わることで、分析やマーケティング活動そのものが改善される場合もある。新たな指標を受け入れ、前向きに分析に取り組んでほしいと訴えた。