あえての地方出店×OMO展開で顧客と商品の出会いを生むlacore
LINEが進めるOMO施策のひとつとして、今回は美容ポータルサイト「lacore(ラコア)」の取り組みを紹介する。同サイトは2020年8月にローンチされ、パーソナルカラーや肌質・年齢などユーザーの登録情報やサイト内の行動履歴に応じて、パーソナライゼーションされた商品やコンテンツが表出。自分に合ったコスメ・スキンケア用品を見つけることができるようになっている。
「LINEは、2017年より『LINEショッピング』の展開を始めていますが、購買のメイン層が20代から30代の女性となっており、美容との相性が良いのではないかと考えました。『タッチアップできないECでコスメを買うのは不安』『自分に合ったものを見つけられない』といったユーザーの悩みを、テクノロジーで解決すべく立ち上がったのがlacoreです」
AIの力を用いて、各ユーザーに合った商品・コンテンツを提示することで支持を獲得し、2021年10月時点でlacore公式LINEアカウントの友だち数は1,000万人を突破、取扱ブランド数も180を超える状況だ。ユーザーの比率は現状94%が女性だが、「メンズコスメの興隆が男性ユーザーの増加を後押ししている」と言う。
「現在は既存ユーザーと相性の良い韓国など海外コスメブランドの取扱が増えている状況ですが、今後はブランドや価格帯を広げていく予定です。また、商品の購入サイクルを割り出し、商品の残量が少なくなるタイミングでLINEからお知らせをするなど、購入データを活かしたCRM施策への注力も考えています」
収集したデータを用いてアプローチし、既存ユーザーとの関係を深める一方で、lacoreはリアルの接点創出にも取り組んでいる。その第1弾として2021年9月にオープンしたのが、「高知 蔦屋書店」に出店した店舗「ViewT Cosme Supported by lacore」だ。同店は、株式会社ALAの出店する「ViewT Cosme」に、lacoreがサポートとして加わり、共同出店している。
「lacoreは、立ち上げ当初よりOMO展開を意識してローンチしたサイトでした。店舗展開はブランドの協力も必要となる上、コロナ禍ということもあり、まずはECのみで始めましたが、地方のユーザーにも新しいブランドとの出会いや商品に触れる場を提供すべく、あえて大都市圏ではない場所にしたいと考えていました」
現在は店頭に提示された二次元コードを読み取ることで、lacore内の商品詳細やユーザーレビュー、該当商品が紹介されたコラムなどを閲覧できるが、将来的には「lacoreと同店での購買データを連動させ、店頭でお薦め商品の提示を行うなど、より体験をシームレスにしていく」とのこと。
「漠然と商品を探しに来た人と、購入意欲が顕在化している人では求めている情報も異なります。こうしたユーザーの気持ちをデータから読み解き、オンオフ問わずマッチする情報提供を進めたいと考えています。また、店舗・ECと展開の幅が広がればlacore出店ブランドへ提供する情報の質も高まります。2021年11月のアップデートでは、ユーザーのフォロー機能や近しい嗜好を持つユーザーとのマッチ度を提示し、新たなブランドとの出会いをより創出できる機能も実装しています。コミュニケーションツールとして強みを持つLINEが展開するlacore独自の価値提供を、今後も追求し続けます」