帝国データバンクは、保有する企業財務データベース「COSMOS1」の中から、2020年度(2020年4月~2021年3月)決算業績(単体)が判明している約10万7000社(金融・保険を除く)のデータを抽出し、速報値として売り上げや財務状況の傾向についてとりまとめた。
業績動向:売上高伸び率平均は全体で0.2%のマイナスに
2020年度決算の企業業績は全産業(金融・保険を除く)約10万7000社のうち、「減収」となった企業は58.3%を占め、2019年度(40.3%)と比べて18.0pt増加した。 一方、「増収」となった企業は41.5%と、前年度から11.9pt減少。 コロナ禍が売り上げに与える影響が明らかとなった。
2020年度の売上高伸び率平均は0.2%のマイナスとなった。 わずかな減収幅ながらも、2019年度(+6.8%)から一転してマイナス。 3カ月ごとの決算期別に比較すると、「4-6月期」は4.0%のプラスであったのに対し、決算期が後になるほどに悪化、決算期間中においてコロナ禍が長かった企業ほど悪化幅が大きくなっており、「1-3月期」は4.5%のマイナスとなっている。
業種別にみると、減収企業の割合が最も高かったのは製造業で、71.5%に達した。 次いで、卸売業(65.6%)、小売業(63.2%)が高かったが、非製造業全体では55.6%にとどまった。
業種ごとの売上高伸び率平均をみると、その他を除く43業種中27業種でマイナスとなった。 もっとも落ち込みが大きかったのは「宿泊業」で28.5%のマイナスとなり、前年度との比較でも48.9ptマイナスと最大の減少幅となった。 次いで「飲食店」(△17.4%)、「娯楽業」(△16.3%)が続き、新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業時間の短縮、外出自粛といった要請が直接、企業業績に大きな影響を与える結果となった。
対して、売上高の増加率が高かったのが、「電気通信・郵便」(+11.0%)、「教育」(+8.0%)、「不動産」(+6.2%)。 多くの業種がマイナスの影響を受けた一方、働き方、生活様式の変化に伴う需要が生まれたことで、増収を維持する業種も見受けられた。