富士経済は、新型コロナウイルス感染症の影響によって休業や営業時間の短縮を余儀なくされたものの、テイクアウトやデリバリーの強化などで対応を進める外食産業の市場を調査、その結果を「外食産業マーケティング便覧 2021 No.2」にまとめた。
喫茶
2020年 | 2019年比 | 2021年見込 | 2020年比 |
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1兆841億円 | 72.9% | 1兆2,096億円 | 111.6% |
2020年の喫茶は、市場構成比の高いコーヒーショップと喫茶店・コーヒー専門店において、緊急事態宣言の発出に伴う臨時休業や外出自粛から、モーニングや休憩目的の来店が減少した。また、上位企業が新規出店を進めたため店舗数は増加したが、個人の喫茶店・コーヒー専門店が減少したことが影響し、前年比27.1%減の1兆841億円となった。2021年は商業施設の客数や高価格型喫茶店・コーヒー専門店において食事目的のファミリー層の客足が戻りつつあるため、市場は11.6%増の1兆2,096億円が見込まれる。
料飲店
2020年 | 2019年比 | 2021年見込 | 2020年比 |
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2兆5,342億円 | 47.9% | 2兆5,964億円 | 102.5% |
2020年の料飲店は、新型コロナの影響や在宅勤務の増加で宴会や仕事帰りの需要が減り、上位企業が不採算店の閉店や他業態への転換を進めたことから、市場は前年比52.1%減の2兆5,342億円となった。2021年も営業時間の短縮で9割以上を占めるディナー帯の需要獲得が難しいため店舗数の減少がみられる。また、ランチ営業やテイクアウトなどの売り上げは向上しているが、アルコール提供の制限が継続され、市場は前年比2.5%増の2兆5,964億円にとどまると見込まれる。
ファミリーレストラン
2020年 | 2019年比 | 2021年見込 | 2020年比 |
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9,142億円 | 71.8% | 9,832億円 | 107.5% |
2020年のファミリーレストランは、営業時間の短縮や臨時休業などによりこれまで好調であったイタリアFRやチャンポンFRが前年比で大きく縮小したほか、テイクアウトやデリバリーに注力してきた総合FRも客数減で売上が減少し上位企業が不採算店の閉店を進めたため、市場は前年比28.2%減の9,142億円となった。2021年は3月以降客足が戻りつつあり、テイクアウトやデリバリーが好調なため、市場は前年比7.5%増の9,832億円が見込まれる。
西洋料理
2020年 | 2019年比 | 2021年見込 | 2020年比 |
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6,106億円 | 67.0% | 6,520億円 | 106.8% |
2020年の西洋料理は、営業時間の短縮や臨時休業でプレミアムハンバーガーやステーキ・ハンバーグレストランなど全業態が縮小し前年比33.0%減の6,106億円になった。2021年はプレミアムハンバーガーがテイクアウトやデリバリーで好調なほか、ステーキ・ハンバーグレストランやフランス料理、イタリア料理なども客足が戻りつつあり、市場は前年比6.8%増の6,520億円が見込まれる。
日本料理
2020年 | 2019年比 | 2021年見込 | 2020年比 |
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1兆8,373億円 | 70.9% | 1兆9,635億円 | 106.9% |
2020年の日本料理は、これまで好調であったすきやき・しゃぶしゃぶや、インバウンド需要が消失したてんぷらなど、全業態が営業時間の短縮や臨時休業を余儀なくされ、市場は前年比29.1%減の1兆8,373億円となった。2021年は上位企業の新規出店による店舗数増加ですきやき・しゃぶしゃぶが回復に向かうほか、すしなど他業態でも客足が戻りつつあるため、市場は前年比6.9%増の1兆9,635億円が見込まれる。
東洋料理
2020年 | 2019年比 | 2021年見込 | 2020年比 |
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1兆870億円 | 76.3% | 1兆1,750億円 | 108.1% |
2020年の東洋料理では、焼肉料理は無煙ロースターによる店内換気が新型コロナの感染への不安感を軽減することや、テーブルオーダーバイキングなどのメニューが好評で縮小幅は比較的小さかったものの、高級中華料理は宴会需要が減少したことで大幅に縮小するなど、苦戦した業態も多く、市場は前年比23.7%減の1兆870億円となった。2021年は大手企業の新規参入で焼肉料理が二桁伸長するとみられる。また、その他の業態も前年より伸長するものが多いとみられ、市場は前年比8.1%増の1兆1,750億円になると見込まれる。
エスニック料理
2020年 | 2019年比 | 2021年見込 | 2020年比 |
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1,133億円 | 78.2% | 1,253億円 | 110.6% |
2020年のエスニック料理は、上位企業がテイクアウトやデリバリーに注力したが、在宅勤務の定着や営業時間の短縮によるランチやディナーの需要減少がみられ、特に、アルコール需要が高いメキシコ料理は大きな影響を受けたことから、市場は前年比21.8%減の1,133億円となった。2021年に入っても緊急事態宣言下が発出されているが、エスニック料理の利用は少人数が多く、また、外食ならではのメニューを楽しめることから客足は回復に向かっており、市場は前年比10.6%増の1,253億円が見込まれる。
宿泊宴会場
2020年 | 2019年比 | 2021年見込 | 2020年比 |
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1兆9,431億円 | 50.0% | 2兆8,588億円 | 147.1% |
2020年の宿泊宴会場は、新型コロナの影響でホテルではインバウンドからビジネスまで様々な利用機会が減少し、結婚式場では婚礼のキャンセルや延期、少人数ウェディングの増加によって単価が低下したため、前年比50.0%減の1兆9,431億円となった。2021年は宿泊施設のビジネス利用が減少しているほか、結婚式などの宴会需要も減っている。しかし、後半からは国内旅行客数や宴会需要が徐々に回復に向かうとみられるため、市場は前年比47.1%増の2兆8,588億円が見込まれる。
調査方法
富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データ ベースを併用
調査期間
2021年3月~6月