ネットプロテクションズは、「エンタメイベントチケットの支払い方法に関する意識調査」を実施。「コロナ禍におけるエンタメイベントのマネタイズ方法」に関する調査結果を発表した。
「ファン層」の定義
同レポートで用いる「ファン層」の定義は、<声優・アイドル・アーティスト・お笑い芸人・ライバー>の各タレントコンテンツの視聴頻度を問う質問において「頻繁に観る」と回答した人を対象としている。ファン層の対象は全体で846人。
昨今のコロナ情勢も相まって、エンタメ系コンテンツのオンライン化が急速に進むなか、会場のグッズ購入の代わりとして、投げ銭でのタレント応援が盛んになっている。
10代~50代の男女2,402人に、オンラインイベントでの投げ銭経験を聞いたところ、投げ銭経験があるのは11.2%だったが、うちファン層に限るとその4倍の40.6%が投げ銭をしたことがあると回答。さらに1コンテンツあたりの平均投げ銭金額をみると、3,000円以上の投げ銭をすると回答した人は、全体では2.8%だった一方、ファン層の場合は14%と7倍もの差があり、ファンであることと投げ銭での応援との相関関係が顕著に表れた。
最近ではYouTubeに続き、Twitterや音声SNSのClubhouseも投げ銭機能を開始するなど、さまざまなコンテンツでの投げ銭の実装が進んでいるが、果たしてどんなコンテンツにおいても投げ銭はユーザーに求められるのかを検証するために、タレント種別・コンテンツ種別ごとに調査を行った。
投げ銭形式が支持されるのは、ライブチャットのみ
エンタメ系イベントのコンテンツ種別ごとに、ファン層における支払い方法の意識調査したところ、投げ銭支持率が25.1%と比較的高いのはオンラインでのライブチャットのみであり、そのほかのコンテンツでは1割程度しかないことがわかった。
さらにタレント種別ごとにみても、オンラインでのチャット・トークイベントといったカジュアルなコンテンツにおいては投げ銭を求める声が多い一方、それ以外のコンテンツでは、投げ銭支持率は1割程度がほとんどという結果に。ライバー(YouTuberのように、ネットでライブ配信を行っている人)や声優といった投げ銭文化が普及しているタレント種別においても、ライブチャット以外のコンテンツだと、投げ銭はあまり求められていないことがわかった。
一律価格チケット支持も過半数割れ ライブチャット以外では体験後に自分で価格を決めたいという声多数
ライブチャット以外のコンテンツで、どのような支払い方法が求められているかを調べた。エンタメイベント全体に求められる支払い方法を集計したところ、任意価格制を求める声が過半数で、従来の一律価格チケットを求める超えは半分以下に留まった。任意価格制のなかでも、もっとも支持率が高かったのは、イベント体験後に自分で価格を決められる「あと値決め」形式で、全体の25.8%だった。
利用が生配信中に限定される投げ銭に対して、あと値決めはアーカイブ動画やオフラインイベントでの利用も可能。ライブチャットなどのカジュアルなコンテンツは投げ銭と相性がよく、一方コンサート・ライブやファンミーティングなど、集中して観たいコンテンツにおいては、しっかりと体験したあとで価格を決めるあと値決めの方がより市場のニーズを満たしていることが明らかになった。ファンの応援を対価としてマネタイズをするためには、イベント内容に応じて、投げ銭とあと値決めを上手く併用していくことが求められるといえる。
タレント種別問わず、あと値決め形式の支持率は高く、特に声優ファンにおいてはライブ・コンサート・ファンミーティングすべてのオンラインイベントにおいて3割超えと、顕著に高いことがわかった。またアーティスト・お笑い芸人・ライバーのファンミーティングにおいて、23%以上があと値決めを支持するという結果になった。
調査概要
- 調査名:エンタメイベントチケットの支払い方法に関する意識調査
- 調査方法:他社サービスのインターネット調査
- 調査期間:2021年3月22日~2021年3月23日
- 調査対象:10代~50代の男女2,402人