ジェーシービーとナウキャストは、現金も含むすべての消費動向を捉えた国内消費動向指数「JCB消費NOW」の6月前半(6月1日~6月15日)の速報値の一部を公開した。
同調査における6月前半の参考系列トピックスと分析は次のとおり。
「サービス総合」が大きく下げ幅を縮小
新型コロナウイルスの影響でほぼすべての業種・業態で消費が落ち込んでいたが、全体として4月後半に底をつき足元は回復基調にある。「全総合」は5月後半に続いて下げ幅を縮小、「サービス総合」が大きく下げ幅を縮小したことが寄与したという。「小売総合」は1月後半と比べてプラスの状態が続くも、5月後半よりも上げ幅は縮小した。
「百貨店」など外出型消費の一部が急回復
「百貨店」が急速に下げ幅を縮小し、回復基調が続いている。また、5月後半におよそ3か月ぶりにプラスへ転じた「アパレル(織物・衣服・身の回り品小売業)」はさらに伸びが拡大しており、コロナ禍で落ち込んだ外出型消費の一部が急回復している。
「外食」と「旅行」の回復ペースに差
コロナ禍で大きく消費が落ち込んだ外出型消費のうちサービス業種の「外食」「旅行」「交通」「娯楽」は厳しい状態が続くが、総じて緩やかな回復傾向が見られる。比較的身近な域内で消費ができる「外食」の回復は早いが、長距離移動をともなう「旅行」は回復の遅れが目立つ。
「居酒屋」の回復にともない「酒屋」は伸びが鈍化
日常生活における外出が徐々にできるようになったことで「喫茶店・カフェ」は下げ幅を急速に縮小。また「居酒屋」の回復とともに、巣ごもり消費・宅飲み需要で伸びていた「酒屋」は伸び率の鈍化が鮮明となっている。
高い伸び率が続くデジタル消費
緊急事態宣言発令期間中に需要が高まった家電含む「機械器具小売業」や「EC」、「コンテンツ配信」といったデジタル消費は伸び率が鈍化しているものの、依然として高い伸び率を示しており、消費者のデジタルシフトが見受けられる。
回復が鈍いコンビニ
コロナ禍で消費が伸びた「スーパー」は、伸びが減速気味。「コンビニエンスストア」は緩やかに回復しているものの、1月後半の水準には遠い。
JCB消費NOWは、JCBグループ会員のうち、無作為に抽出した約100万会員のクレジットカード決済情報を基にJCBとナウキャストが算出した、現金を含む国内の消費全体を捉えた消費動向指数。クレジットカード決済情報そのものではなく、国内会員に絞っているためインバウンド消費は含まれない。
なお、同データにおける1月後半と6月前半の比較においては、各期の前年比差異を見ているので、季節性による変化は含まれていない。「EC」項目はオンライン消費のみ。「EC」以外の「業種別消費指数」はオフライン消費とオンライン消費どちらも含んでいる。