株式会社矢野経済研究所は、国内のデジタルマーケティング市場を調査し、市場概況、参入企業の動向や将来展望を明らかにし、CRM、MA、CDP市場の市場規模推移・予測について公表した。
CRM、MA、CDP市場の概況
同社は、2023年の国内のデジタルマーケティング市場規模を事業者売上高ベースで3,019億9,000万円と推計。2024年の同市場は、前年比114.0%の3,442億5,000万円に成長すると見込んでいる。
CRM/SFAおよびMAでは、大手企業だけでなく中小企業による活用が増加傾向にあり、導入するユーザー企業の層が拡大しているという。従来のように大企業が大規模な投資をするケースは少なくなっていくが、未開拓の層を中心に今後も市場は拡大していく見通しを立てており、CDPに関しては成長期として今後も拡大していくと見込んでいる。
また、CRM/SFAやMAなど様々なデジタルマーケティングツールの導入が進み、ユーザー企業の内部に様々なデータが蓄積されるようになったことに加え、AIの活用が進み、AIの学習に用いる社内データの重要性が高まっている点も市場の追い風になっていると考察している。
注目トピック:現行業務の一部に機能を組み込むことで、生成AIの活用が促進
同調査では、デジタルマーケティングと生成AIの相性の良さについても言及。生成AIはコンテンツ生成に優れているため、ユーザー企業の業務を助ける存在として、メール文章のコンテンツ生成などを中心にデジタルマーケティングのツールに機能が実装されている。
ただし、同調査では生成AIは話題を集める一方で、ビジネスでの活用が進んでいない実態にも触れている。デジタルマーケティングツールのベンダーは、こうした現状に対し、文章作成時のプロンプトテンプレートを設けたり、議事録作成などの要約も数クリック程度で利用できるようにしたりと、利用ハードルを下げ、現行業務の一部に生成AI機能を組み込むことで、ユーザーの負担を軽減するように努めているという。ユーザーは生成AIを使いこなすというよりも、あくまで業務効率や業績を上げるための手段として生成AIの機能を利用しており、成果のわかりやすさ、かつ利用ハードルの低い機能が重要であると、同調査では考察されている。