花王とアイスタイルは、ビューティ&ヘルス産業のサステナブルな発展のため、「皮脂RNAモニタリング」技術を核としたビジネス共創を目指す「RNA共創コンソーシアム」を共同設立した。
「皮脂RNAモニタリング」技術を提供する花王と、美容に特化したプラットフォーマーであるアイスタイルが理事となり、運営委員会を組織。共創パートナーとして、コーセー、マツキヨココカラ&カンパニー、キリンホールディングス、パーフェクト、ヘルスケアシステムズといった企業を幹事社として迎えた。
今後、同コンソーシアムでは、RNA情報を基準に、生活者にとってさらに満足度の高いパーソナルな商品・サービス選択が叶う仕組みの創出を目指すとのこと。同時に、需給バランスを整え、人にも環境にも負荷をかけない、サステナブルな消費サイクルを実現することを目標に、活動を開始した。
「皮脂RNAモニタリング」技術について
「皮脂RNAモニタリング」は、あぶらとりフィルムで顔の皮脂を採取し、その皮脂からRNAを抽出して網羅的に分析する花王独自の解析技術。DNAがその人固有の一生変化しない情報であるのに対し、RNAは体調や食生活、運動、ストレス、紫外線といった環境要因によって日々変化するため、その時々の肌や体の状態を知るのに有用であるという。同社はこれまでに、皮脂RNAにより、体や肌のさまざまな状態の推測ができること、乳幼児アトピー性皮膚炎やパーキンソン病を早期に判別できる可能性があることなどを研究成果として報告してきた。
コンソーシアム設立の起点となる花王とアイスタイルとの取り組み
花王とアイスタイルは、2022年からアイスタイルが運営する「@cosme」サイトで承諾を得られた会員の皮脂RNAを収集して、似た皮脂RNA特徴を持つ人をグルーピング。選ばれる化粧品の傾向を解析する取り組みを共同推進してきた。
花王はこのグルーピングについて検討を進め、RNA発現の類似度に基づきふたつの肌タイプが存在することを報告。さらに同社は、取り組みで得られた皮脂RNAと画像情報をもとに、これまで皮脂を直接顔から採取しなければ解析できなかった肌タイプ分類(肌遺伝子モード)を、顔写真から特定する技術も開発した。
「RNA共創コンソーシアム」設立の目的と活動について
こうした取り組みを通じて、RNA情報が商品選択のひとつの基準として有用である可能性が見いだされてきたことから、両社は「皮脂RNAモニタリング」技術を核とした、さまざまな企業とのビジネス共創をめざし、「RNA共創コンソーシアム」を立ち上げた。
同コンソーシアムでは、美容健康サービスの「作る」「売る」「選ぶ」ための新基準制定や標準化、ビジネスユースケースの実証、ビジネス連携支援などの活動を推進。RNA情報を基準としたケアやサービスが社会に浸透することで、生活者にとってさらに満足度の高い商品選びを叶えると同時に、美容、ヘルスケアをはじめとするさまざまな領域の企業においても、生活者の悩みに対応する新たなソリューション提案や、商品開発・サービス開発におけるイノベーションの推進につながることが期待されている。
これらをビューティ&ヘルス業界全体で取り組むべく、今後、美容や健康・食といった幅広い業界から参画企業を募る予定。そして、各社の持つデータや研究知見を融合して顧客や産業の課題解決を促進し、新たな価値を創造することで、業界のサステナブルな発展を実現していく考え。