コマースメディアを展開するCriteo(クリテオ)は、リテールメディアに関する調査を実施し、その結果をまとめたレポート「THE GREAT DEFRAG (ザ・グレート・デフラグ)~2024年、コマースメディアが断片化する広告を一つに~」を発表した。
リテールメディアは今、多くのプラットフォームとプレイヤー(プロバイダー)が存在し、エコシステムが構築されつつある。そこで、同レポートでは、すべてのプレイヤー(ブランド・広告主、小売業者・リテーラー、代理店、パブリッシャー)とさまざまな地域(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、韓国)の観点を網羅し、リテールメディアがさらなる進化を遂げるためのアプローチについて考察している。
同調査に回答した全世界の約半数のブランド・広告主(56%)や代理店 (47%)が、リテールメディアにおいてオンサイト配信(自社ECサイト内の広告枠への配信)とオフサイト配信(自社ECサイトではない外部サイトの広告枠への配信)の両方に投資していることが明らかに。
日本だけでみると、両方に投資していると回答した割合は、ブランド・広告主および代理店ともに35%だった。
また、同調査に回答した全世界の約24%のブランド・広告主や25%の代理店が、現在はオンサイトのみの投資だが、将来的にはオフサイトにも投資していくと回答し、日本においては同質問において、同調査対象国である6つの国のなかでイギリス(33%)につぎ、2番目に高い29%という結果だった。
一方で、パブリッシャーの83%が、オフサイト広告の配信先として自社ウェブサイト上にリテールメディア広告の商品を表示させる広告インベントリを拡大し、リテールメディア広告費を獲得することに関心があると明らかになった。
主な調査結果
リテールメディアは純粋な購買促進を目的としたスポンサード広告を超えて進化
- 全世界の93%の代理店、88%のブランド・広告主、89%の小売業者・リテーラーが、リテールメディアは2023年の収益に大きな影響、またはプラスの影響を与えたと回答した。
- 全世界のブランド・広告主の 79%がリテールメディアへの支出がほかのどのチャネルよりも売上の面で効果的であると回答。
- 全世界のブランド・広告主と代理店の 85%が、マーケティングの上位ファネルであるブランド認知を促進するためのリテールメディアの施策をますます強化している。
- ブランド・広告主によるオフサイトの需要に対応するために、全世界の小売業者の50%がオフサイト分野への投資を優先している一方で、43%の小売業者が実店舗のデジタル スクリーンやPOS ディスプレイなど、店頭のリテールメディアの需要への対応にも取り組んでいる。
リテールメディアにおける課題
- 地域ごとにさまざまな課題が挙げられたが、全世界で共通していた課題は、「最適なリテールメディアのパートナーの選定」や「予算管理」だった。
- 日本と韓国の各プレイヤーに共通する課題は、広告効果によるコンバージョンの純増分をあらわす「インクリメンタリティの計測」だった。
- 小売業者からは、「最適なリテールメディアのパートナーの選定」「インクリメンタリティの計測」「予算管理」「プロバイダーの断片化」「リテールメディアの認知の低さ」が挙げられた。
- ブランド・広告主からは、「最適なリテールメディアのパートナーの選定」「インクリメンタリティの計測」「予算管理」「社内のリソースや人材、知見の確保」「ファーストパーティ・データの整備」が挙げられた。
- 代理店からは、「社内のリソースや人材、知見の確保」「インクリメンタリティの計測」「プロバイダーの断片化」「リテールメディアの認知の低さ」「実店舗でのキャンペーンとの不連携」が挙げられた。
リテールメディアのパートナー選定で考慮すること
- ブランド・広告主がリテールメディアのパートナーを選ぶ際には、全世界で共通して分析力・レポートの精度の高さを重視する傾向が明らかとなった。
- 日本と韓国のブランド・広告主においては、分析力・レポートの精度の高さ(58%)に次いで、オンサイト広告とオフサイト広告の両方を兼ね備えている(44%)、オープンインターネット上でのブランドセーフティーが確保されたインベントリ(44%)、関連性の高いオーディエンスとデータ(44%)などが重視される傾向にあった。
調査方法
- 調査期間:2023年10月~12月
- 調査対象:米国、英国、フランス、ドイツ、日本、韓国においてブランド・代理店・小売業者・パブリッシャーに関わるシニア専門職
- 回答者数:1,004