そごう・西武とRidgelinezは、販売機会最大化と廃棄削減の両立、そして業務負荷軽減に向けて、実店舗とECサイト在庫の一元管理(OMO化)、および発注の最適化を目指し、AI を活用した在庫管理のデジタル化を2023年8月28日から開始する。
同取り組みは、バーコード、RFIDを必要としない、AIによる単品在庫管理を国内の百貨店業界で実現するもの。まずは、西武池袋本店の諸国銘菓、名産売場とそごう大宮店の諸国銘菓を対象に開始し、今後はほかの自主運営売場から拡大させ、全店展開を目指していく。
コンビニエンスストアやアパレルなどで広く採用されている在庫管理のデジタル化手法は、取引先の協力のもと商品バーコード、RFIDなどの運用統制が必要となる。一方、そごう・西武の諸国銘菓、名産売場は、取扱いメーカーや商品が多岐にわたり、完全なかたちでのJANコードによる管理ができていなかった。結果として、発注業務や在庫管理をデジタル化できず紙台帳で運用し、個人の経験や勘に基づく発注をFAXで実施せざるを得なかったという。そのため、発注に時間がかかる、担当者によって発注精度のばらつきがでる、ECと連動ができない、賞味期限がある商品の販売機会を損失している、などの課題を抱えていた。
こうした課題を解決するため、そごう・西武はRidgelinezとともに、売り場のデジタル化を目指し、画像認識AIによる単品在庫管理に向けて、取り組みを開始。Ridgelinezが開発した画像認識AIを組み込んだ在庫管理業務アプリを活用することで、バーコードなどの有無にかかわらず、商品在庫の単品管理が可能な仕組みを実現。2022年1月から実証実験を開始した。
実証実験では、紙台帳の管理が不要となったことにより、発注、検品、納品作業時間の33%削減を実現。また、デジタルダッシュボードの情報を活用した過剰発注の発見により、廃棄ロス削減に向けた発注調整を開始した。なお、画像認識AIの検知率については、実験を重ねることで約99%にまで高めることができたとのこと。
両社は今後、Ridgelinezとともに同取り組みの対象売場を拡張しながら在庫情報のデジタル化をさらに進め、その情報をもとにAIを活用した需要予測や発注の自動化を目指す。また在庫情報を自社ECサイトに連携することで、同サイトの商品を拡充し販売を強化していくとしている。