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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzineニュース

コロナ禍3年目のEC市場は「フード・菓子」ジャンルが急成長 決済方法に変化も/MakeShop調査

 ECサイト構築SaaS「MakeShop byGMO」では、2022年の年間流通額が過去最高を更新した昨年の2,749億円を上回る推移で成長しており、3,000億円に到達する見込み。この約3,000億円の流通額と11,000件以上の導入店舗データをもとに、コロナ禍以前の2019年からコロナ禍3年目を迎えた2022年の振り返りを発表した。

 2020年に感染が拡大した新型コロナウイルスの影響を受け急成長を遂げたEC市場も、コロナ禍の長期化により特需が落ち着き、2021年の物販系分野のBtoC EC市場規模は13兆2,865億円で前年比8.61%増と、2020年と比較し伸び率が鈍化している(経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和3年度 電子商取引に関する報告書」)。EC市場の傾向を探り事業者の課題解決に取り組むため、コロナ禍3年目においても成長を続ける「MakeShop byGMO」のデータを分析した。

流通額の月間・年間推移

「MakeShop byGMO」の年間流通額は今年も過去最高を更新し3,000億円到達見込み

 「MakeShop byGMO」導入店舗の売上の合計である流通額は年々増加を続けている。2020年は特に、コロナ禍による巣ごもり消費需要の増加から急成長を遂げ、前年比135%の2,343億円となり、2021年はそこからさらに117%成長し2,749億円に。2022年は、特需が落ち着くなかでも2桁成長の推移となっており、3,000億円に到達する見込みとなっている。

2022年のECの利用は、コロナ禍以前の季節需要に応じた動向へ

 月間流通額の推移を見ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響をもっとも受けた2020年は、緊急事態宣言の発令により外出自粛の意識が高まった4月から6月にかけて流通額が伸びるなど、特徴的な波形であるのに対し、2022年はコロナ禍以前の2019年のグラフと近い波形であるのが見てとれる。長期化するコロナ禍と向き合いながら日常を取り戻し、イベントの再開なども行われるなかで、ECの利用もコロナ禍以前の季節需要に応じた動向へと戻りつつあることがうかがえる。

ジャンルごとの導入店舗数・注文数・流通額の傾向

2020年以降、「フード・菓子」ジャンルが導入店舗トップシェアに

 「MakeShop byGMO」は、幅広いジャンルの事業者に導入されているが、なかでも2022年12月現在でもっとも多いのは、「フード・菓子」ジャンルで、導入店舗のうち18.1%を占め、次いで「ファッション・ブランド」が13.2%、「生活・インテリア・文具」が12.7%となっている。2019年までは「ファッション・ブランド」がもっとも多く15.2%だったが2020年に「フード・菓子」が逆転し、以降増加を続けている。この背景には、コロナ禍で飲食店が営業自粛に追い込まれたことや、外出自粛により食品のお取り寄せ需要が増加したことから、飲食店や食料品店のEC化が進んだことが影響していると考えられる。

注文数も「フード・菓子」が急増、流通額では「ファッション・ブランド」が1位

 ジャンルごとの注文数を見ても、2019年は1位が「ファッション・ブランド」で全体のうち17.2%を占めており、2位が「フード・菓子」で13.4%、3位が「生活・インテリア・文具」で9.3%となっていたところ、2022年1月~11月のデータでは、「ファッション・ブランド」が17.9%、「フード・菓子」が17.6%とほぼ並ぶ結果に。クリスマスやおせち、お歳暮など12月は特に「フード・菓子」の注文が増えるため、年間注文数では「フード・菓子」が「ファッション・ブランド」を抜いて1位になることも予測される。

 一方ジャンルごとの流通額で見ると、「フード・菓子」は商品単価が低いこともあり、2022年1月~11月のデータでは、1位は「ファッション・ブランド」12.6%、2位が「フード・菓子」10.4%、3位が「家電・AV機器・カメラ」9.7%の順となった。

決済手段ごとの注文数・売上傾向

ID決済による注文の割合が3年で10ポイントも増加し急成長

 2022年1月~11月の注文数を決済手段ごとに見ると、1位はクレジットカード決済がもっとも多く54%、2位はID決済で16%、3位は銀行振込で9%となっているが、2019年と比較するとID決済が10ポイント増加し急成長。この背景には、キャッシュレス化の浸透に加え、コロナ禍が追い風となり実店舗でも非接触で購入できるID決済などの利用頻度が増え、ECの注文においても利用されるようになったことや、非対面受け取りのために減少した代金引換と置き換わったことが影響していると考えられる。

複数の決済方法を導入している店舗のほうが高い売上に

 「MakeShop byGMO」では、ECサイトの利便性向上による売上獲得を支援するため、決済方法を拡充している。実際に、クレジットカード決済のみを導入している店舗と、ID決済など複数の決済方法を導入している店舗の売上を比較すると、複数の決済方法を導入している店舗の売上のほうが高い傾向となり、クレジットカード決済以外に3種の決済方法を導入している店舗の場合には、クレジットカード決済のみの店舗の4.8倍も売上が高いといったデータも出ている。

地域ごと導入店舗数

九州・四国・中部・北海道と地方での導入店舗数が大きく伸長

 地域別の導入店舗数では、関東がもっとも多く全体の46%を占める。しかし、2022年と2019年を比較した成長率で見ると、九州が150%ともっとも伸びており、次いで四国が141%、中部・北海道が131%に。首都圏に近い関東では以前からEC化が進み「MakeShop byGMO」の導入も多かったところ、コロナ禍で観光業が打撃を受けた地方事業者が販路拡大のためEC化に乗り出したことや、業務効率化のためにDX化を推進する動きが活発化したことが影響し、地方の導入店舗数が急増したと推察される。

関西は「フード・菓子」が1位に浮上、関東は依然として「ファッション・ブランド」が1位

 地域別の導入店舗数をジャンルごとに見ると、関東・関西以外の地方では以前より「フード・菓子」ジャンルの店舗数がもっとも多い傾向にあったが、コロナ禍により「フード・菓子」の成長はさらに加速し、九州・四国・北海道・東北では30%以上を占めるまでに。

 一方、コロナ禍以前は「ファッション・ブランド」がもっとも多かった関東・関西のうち、関西では2022年に「フード・菓子」が追い抜いて1位に浮上しているのに対し、関東では「フード・菓子」の店舗数が増加しているものの、依然として「ファッション・ブランド」が1位となっている。

GMOメイクショップでは、地方におけるEC化・DX化の支援体制を強化

 GMOメイクショップでは地方におけるEC化・DX化の支援体制を強化するため、2022年に香川銀行や百十四銀行、福岡商工会議所との連携を発表し、「MakeShop byGMO」の導入支援や、共催セミナーの開催によるEC運営ノウハウの提供を進めてきた。地方支援体制のさらなる強化を目指し、今後も地方銀行や商工会議所との連携を進めていくとのこと。

補助金の活用傾向と導入機能の傾向

コロナ禍で急増した補助金の申請希望は減少するも、支援強化で採択率は向上へ

 コロナ禍3年目となり新しい生活様式を取り入れながらも元の生活を取り戻している状況は、「MakeShop byGMO」導入における補助金の活用状況からも読み取れる。2020年は、巣ごもり消費需要に対応するべく新規導入店舗が前年比144%と急増。開店資金に補助金を活用する事業者も多く、経済産業省による「サービス等生産性向上IT導入支援事業」(以下、IT導入補助金)の申請希望者は前年比527%と大幅に増加した。2022年も多くの申請希望を受け付けているが、2020年と比較すると半分以下に減少した。

 GMOメイクショップは、補助金や助成金を必要とする事業者が申請を行う際の作業負担を軽減し採択率を向上するため、2021年より行政書士法人や社会保険労務士法人と連携。その結果、2022年にGMOメイクショップが支援したIT導入補助金の採択率は、全体平均の82.7%を上回る84.8%となった。

2022年は「海外販売機能」の導入店舗数が急増、越境ECは今後も増加へ

 2022年の「MakeShop byGMO」利用傾向において特徴的であったのは「海外販売機能」の導入店舗数の急増である。2022年4月の提供開始直後から円安の影響で注目が高まり、毎月100件ペースで導入店舗数が増加、12月14日時点で900件に到達し、海外販売による流通額も増加を続けている。円安傾向はピーク時と比較し落ち着きを見せているが、インバウンド消費の減少が回復していないなか、越境ECへの対応によるウェブインバウンド需要の獲得に対する期待も大きく、また、「海外販売機能」は追加費用負担もないため、引き続き導入店舗数の増加が見込まれる。

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