グローバルでCRM をリードする米国セールスフォースは、同社のイベント「Salesforce Connections」にて、マーケティング、Eコマース、カスタマーサービスのデータをひとつのプラットフォーム上で連携し、企業があらゆるインタラクションを結び付け、自動化、パーソナライズすることで、顧客との信頼関係を大規模に構築できる新しい「Salesforce Customer 360」を発表した。
データプライバシー法の改正により、消費者の期待に応えながら、パーソナライズされた体験を提供することが難しくなっており、ポストクッキー時代に向けての流れが急速に進行している。企業は、あらゆるチャネルにおけるすべての顧客とのコミュニケーションを結び付け、自動化し、パーソナライズするためのファーストパーティデータ戦略を構築することが急務となっている。
次世代のMarketing CloudおよびCommerce Cloudは、あらゆる業界の企業に、ユニークでつながりのある体験を提供する新しい方法を提供するという。
- 製造業のカスタマーサービス担当者は、顧客からの問合せ対応中に顧客情報をリアルタイムに取得することで、その顧客が保有する製品に付随する適切なサードパーティ製品やサービスを提案するなど、パーソナライズされた体験を実現できる。
- 医療保険会社では、顧客のアンケート回答に対して、適切な商品提案をタイムリーに行うことで、生産性と収益を向上させることができる。
- 銀行の顧客管理担当者は、顧客のクレジットヒストリー、口座、過去の顧客対応などを統一されたプロファイルから把握し、適用されるキャンペーンや顧客の財務的ニーズに基づいて、新しいクレジットカードを提案することができる。
- 小売業者は、各顧客属性にとってもっとも魅力的な商品を特定し、商品カタログと自社のEコマースサイトにリンクし、ターゲティングされたソーシャルメディア広告キャンペーンを自動的に同期させることにより、顧客とのつながりを強化することができる。
各ソリューションの機能情報は、次のとおり。
次世代のMarketing Cloud
企業がデータにより顧客価値を引き出すことを支援する。同ソリューションは、あらゆるインタラクションをより温かみのあるものにし、マーケターの生産性と効率性を向上させる。
Triggerd Campaign Messages
同機能は、Marketing Cloud PersonalizationとEngagementを連携し、新製品カタログと行動トリガーに基づいてパーソナライズされた1対1の顧客エンゲージメントを実現。企業は、信頼できるファーストパーティデータを使用して、顧客の好みの製品を理解し、その製品が再入荷または販売されたときに直接顧客にエンゲージすることができるようになった。
Digital Command Center for Slack
SlackをDigital HQ(会社を動かすデジタル中枢)として使用することで、ひとつのデジタルコマンドセンターからMarketing CloudとCommerce Cloud全体のアクティビティとパフォーマンスを監視し、生産性を向上させることができる。これにより、収益の損失やオプトアウトの増加を回避し、マーケティング担当者は重大な影響を及ぼす前に問題を特定し、解決することができるようになる。
Google Ads and Salesforce Customer Data Platform
ファーストパーティデータを統合された顧客プロファイルに自動的に接続することで、Google Adsでのマーケティングキャンペーンをより効率的に計画、実施、最適化できるように。同機能により、クッキーではなくファーストパーティデータを使用してパーソナライズされたキャンペーンを提供し、将来的にはセグメントレベルのインサイトをCustomer Data Platformのインターフェースに取り込むことができるようになる。
Intelligence Ecommerce Marketing Insights App
企業のコマースとマーケティングのデータとKPIを単一のプラットフォーム上で統合し、実用的なインサイトを備えた対話型のダッシュボードを生成する。
Intelligence Connector for B2C Commerce Cloud
同機能では、注文と製品データを結合し、製品、収益、販売のパフォーマンスに関するインサイトを長期にわたって提供。企業は、データの統合という重労働を自動化し、チャネル、キャンペーン、および製品全体のROIを高めるために支出をどこに最適化するかを理解できるようになった。たとえば、マーケティング担当者は、プロモーション中の注文数や、異なる顧客属性による注文の上位3製品をリアルタイムで確認できるようになった。
マーケティングとコマースに関する新しいAppExchangeパートナー
Salesforceは、世界をリードするエンタープライズクラウドマーケットプレイスである Salesforce AppExchangeにおいて、Customer Data PlatformとCommerce Cloudの新しいパートナーを発表した。これらのパートナーシップは、効率性の向上、高度にパーソナライズされた体験の提供、信頼できる顧客関係の構築に向けたSalesforceパートナーエコシステムの力を拡張するものとなる。
次世代のCommerce Cloud
顧客とのすべてのタッチポイントを収益機会に変えていく。同ソリューションは、すべての取引をより収益性の高いものにするイノベーションにより、デジタルコマースに新しいアプローチを提供する。
Social Integration for Commerce Cloud
自社のコマースサイトにリダイレクトするTikTok広告を作成できるようになった。同機能を使用すると、企業は商品フィードの作成と自動化、オーディエンスのセグメント化、広告の公開、新しいオーディエンスの発見とターゲティングが可能になる。
Commerce Marketplace
Commerce Cloud上でマーケットプレイス ソリューションをすばやく作成、管理、拡張し、他社の製品でカタログの種類を広げ、新しいチャネルやバイヤーにリーチできるように。これにより、顧客の購入品数の増加に加え、ベンダーからのコミッションや会員加入料などの新しい収益源を促進することができる。
NFT Cloud
Salesforceが提供するNFT Cloudパイロット版では、持続可能で信頼性の高い方法で顧客体験をWeb3環境に拡張することができる。非代替性トークン(NFT)をSalesforce Customer 360 Platform上で直接、作成、管理、販売し、顧客データを安全に接続して、顧客のフィジカルとデジタルの世界を横断的に360度見渡すことができる。
Commerce for Customer Service
企業のカスタマーサービス部門は、チャネル間の注文履歴を完全に把握し、ほかの部門に転送することなく、返品、交換、プロモーションの発行、注文の完了を行うことができる新機能によって、プロフィットセンターへと転換させることができる。チャットボットなどのデジタルエンゲージメント機能により、注文を迅速に完了させ、購入後のサービス体験を充実させることでロイヤルティを高めることができる。
Seamless Commerce
Eコマース、注文管理、そしてパートナーサービスによりサポートされた決済のオールインワンソリューションにより、企業は時間とコストを節約できる。
提供時期
- 「Triggerd Campaign Messages」ならびに「Commerce for Customer Service」は一般提供中。
- 「Seamless Commerce」は2022年6月に米国で提供予定(日本では一部提供中)
- 「Social Integration for Commerce Cloud」「Commerce Marketplace」「Digital Command Center for Slack」は、2022年9月に米国で提供予定(日本での提供開始時期は未定)
- 「Intelligence Ecommerce Marketing Insights App」は2022年10月、「Intelligence Connector for B2C Commerce Cloud」は一般提供中(日本での提供開始時期は未定)
- アップデートされたGoogleとの連携は、今後数ヵ月以内に提供予定(日本での開始時期は未定)
- 「NFT Cloud」は現在クローズドパイロット中とのこと。