トレンドExpressは、コロナ流行前に頻繁に訪日旅行を楽しんでいた中国の女性消費者600名を対象に、「訪日インバウンド消費」に関するアンケート調査を実施した。
アフターコロナの訪日意欲:半数以上の消費者がコロナ前よりも高く、旅行予算も上がる見込み
今後訪日旅行が可能になった際、回答者の半数以上(51.5%:「コロナ前より訪れたい想いが強い(15.2%)」「どちらかといえばコロナ前より訪れたい想いが強い(36.3%)」)が、コロナ前よりも高い訪日意欲を示した。
日本は外国旅行先としての優先度も、「外国旅行の旅先として最も優先度が高い(48.8%)」「外国旅行の旅先候補としてトップ3に入る(42.8%)」で合計91.6%と非常に高い結果に。
旅行の予算についても、約60%の消費者が上がる(「上がる(18.2%)」「どちらかといえば上がる(42.2%)想定となった。
訪日旅行の買い物ニーズも底堅い。40%強の消費者が「買い物重視の訪日旅行」を希望
アフターコロナ訪日旅行において、旅の主目的を「買い物」に置くかどうかを調査した。「買い物重視」「どちらかといえば買い物重視」と回答した、買い物を重視する意向の消費者は40%を超え、訪日旅行の買い物ニーズは底堅いことがわかった。
一方で、「買い物とそれ以外を50%ずつ」という回答者も約40%と、買い物に加えて体験観光も上手に楽しむ訪日旅行への変化も感じさせた。
買い物したいカテゴリ:化粧品がトップ、革製品、OTC医薬品などが続く
コロナ前の訪日時に買っていた商品カテゴリ(Q5棒グラフ青)と、アフターコロナの訪日時に買いたい商品カテゴリ(Q6棒グラフ赤)を調査した。
変わらず高いニーズがあったのは化粧品で、あらゆるカテゴリにニーズが拡がっている。選択肢「化粧品4.」にはヘアケア、ボディケア、オーラルケアなどを含んでいる。近年は中国でも自宅でのセルフヘアカラーが注目されており、越境ECでも日本のヘアカラー商品が人気であることも、ポイントアップに繋がったと推測できる。
化粧品に続くのが、革製品、OTC医薬品(一般用医薬品)。革製品は欧米の高級ブランド品の購入ニーズも含んでいると考えられる。中国でも購入可能な商品であっても、偽物リスクが低く、接客サービスに定評のある日本で買いたいというニーズの表れといえそうだ。さらに、日本の中古ブランド品についても「保存状態が良い」という理由から注目されていることも影響していそうだ。
OTC医薬品は、中国消費者による訪日消費が過熱し始めた2016年頃から人気のカテゴリ。一部の風邪薬や胃腸薬が「神薬」と称されたが、現在でも家庭の常備薬としての高いニーズがあると考えられる。
現在の日本商品の購買頻度はコロナ前よりも上昇傾向。 “インバウンド消失による日本商品離れ”は起きていない
コロナ前(2019年以前)と比べた、現在の日本商品の購買頻度を調査。購入頻度が「上がった」「どちらかといえば上がった」という回答が合計約45%となった。「変わらない」という回答者は約46%であることから、懸念されていた“インバウンド消失による日本商品離れ”は起きていないといえそうだ。日本企業各社が中国市場への本格進出を実行し、越境ECへの取り組みも積極化していることが一定の成果を上げていると思われる。
一方で、企業ごとに中国市場への注力状況は異なることや、中国市場および消費者のトレンド変化も非常に早いため、中国消費者から支持される具体的な商品については、コロナ前と現在では変化が起きている可能性が十分考えられる。