日本フードサービス協会は協会会員社を対象とした外食産業市場動向調査令和3年9月度の集計結果をまとめた。「外食産業市場動向調査」は新規店も含めた「全店データ」を業界全体および業態別に集計し、従来の前年同月比に加えて前々年同月比も算出し掲載している。
同調査の集計結果詳細は、次のとおり。
外食市場の9月動向 緊急事態宣言等が続き外食営業は依然深刻な状況
全体概況
9月は、コロナ感染第5波のピークから脱し新規感染者数は減少傾向に転じたものの、引き続き三大都市圏などへの「緊急事態宣言」と全国各地への「まん延防止措置」が月末まで適用され、営業時間短縮と酒類提供制限の要請に応じた結果、店舗休業を余儀なくされたところも少なくなく、全体売上は対前年比91.8%、コロナ禍前の一昨年比では78.3%となった。パブ・居酒屋業態はさらに深刻な状況に陥り、前年比19.6%、一昨年比は9.5%となっている。
業態別概況
ファーストフード業態
FFは、「洋風」の好調により売上は前年比105.3%、前々年比では100.3%となり、売上低迷に苦しむ酒類提供業態などとの差が際立つ結果となった。
「洋風」は、従前通りテイクアウト・デリバリー需要が堅調であるのに加え、キャンペーンにより客数も増加し、売上115.7%。「和風」は、季節商品・復活商品の販売が好調だったが、営業時間短縮などにより客数が減少し、売上は98.7%となった。「麺類」は、ビジネス街の需要低迷や酒類提供制限の影響を受けて売上89.9%。「持ち帰り米飯・回転寿司」は、時短営業の中でも持ち帰り需要が堅調で売上99.5%。「その他」は、「カレー」がほとんどの店舗で営業時間を短縮したこと、「アイスクリーム」が大型商業施設での販売が振るわなかったことなどにより、売上92.7%となった。
ファミリーレストラン業態
FRは、前月に続き緊急事態宣言などによる時短営業や酒類提供の制限で苦戦が続いている。テイクアウト・デリバリーのキャンペーンを打ってはいるものの、業態全体の売上は75.4%(一昨年比では60.0%)に。業種別売上では、「洋風」75.8%(一昨年比56.8%)、「和風」71.7%(一昨年比57.6%)、「中華」85.0%(一昨年比78.0%)、「焼き肉」70.4%(一昨年比59.7%)となった。
パブ・居酒屋業態
緊急事態宣言やまん延防止措置の延長で殆ど営業できない状態が続き、多くの店舗が休業に追い込まれた。売上の主力を占める酒類の販売は激減し、パブ・居酒屋業態全体の売上は前年の2割弱(19.6%)、一昨年比では1割未満(9.5%)という極めて深刻な状況にある。
「パブ・ビアホール」の売上は26.7%(一昨年比11.3%)、「居酒屋」は16.8%(一昨年比8.6%)だった。
ディナーレストラン業態
下旬の連休(シルバーウィーク)にはランチ需要で回復が見られたところもあったが、夜間営業の制限が続く状況下では法人需要も期待できず、売上は70.7%(一昨年比では48.9%)だった。
喫茶業態
依然として外出自粛ムードのなかで、店舗立地にかかわらず客足の戻りは鈍く、売上は87.3%となった(一昨年対比では60.3%)。
調査概要
目的
業界の動向や変化を的確に示すデータの構築により、会員社の経営に役立つ情報提供および協会活動のひとつとして、社会に対し、外食産業からの信頼性のある情報提供を目指す。
調査構成
毎月、会員社本部より新規店の売上高も含めた全店に関する調査を全国規模で実施する。
集計方法およびデータ数値
回答事業社数をベースにした前年同月比を指標とする。
業態分類
業態に関しては経済産業省商業統計を参考に区分した。