矢野経済研究所は、国内のオンライン調剤、OTC医薬品のEC市場を調査し、市場動向、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは、OTC医薬品のEC市場の動向について公表する。
市場概況
国内における、2020年のOTC医薬品(一般用医薬品および指定医薬部外品)のEC市場規模(BtoC、メーカー出荷金額ベース)は562億円と推計した。前年比12.2%増と大きく伸長したのは、近年のEC市場の拡大に加え、コロナ禍での非接触購入ニーズの増加や外出機会の減少などの要因があると考察している。 市場は2021年以降も成長が期待されており、国内OTC医薬品市場全体が8千数百億円規模で、微増から横ばい傾向で推移する中、OTC医薬品のEC市場は今後も成長が期待できる販売チャネルであると言える。
新たなプラットフォームとしてのワンストップ・オンライン薬局
オンラインで専門家に相談しながらOTC医薬品を購入できたり、オンライン診療・服薬指導から自宅などでの処方箋医薬品の受け取りまでを完結できるサービスが登場している。これらの機能に加え、専門家が監修などを行った正しい医療情報をウェブページ上で提供する企業も存在する。
こうしたサービスから、各種医薬品の取引プラットフォームとしての役割と、専門家への相談や必要な情報の入手といったヘルスケアプラットフォームとしての役割を兼ね備えた、新しいプラットフォームとしてのオンライン薬局の姿が垣間見える。オンライン薬局は医薬品の購入に加え、専門家への相談や信頼できる専門情報の取得、医療関連データの蓄積といった専門性の高い機能も持つ。また、日常における医療・ヘルスケアのパートナー 的存在として、顧客と深く・長期的な関係を築ける可能性がある。
将来展望
国内OTC医薬品(一般用医薬品および指定医薬部外品)のEC市場は、今後3年間で約8%増と伸長する見通しである。これまでOTC医薬品のEC化率が低かったことから、OTC医薬品市場全体の成長が停滞する中でも、一定のEC化率に達するまで市場は拡大を続けると考察している。
調査要綱
- 調査期間: 2021年7月~9月
- 調査対象: OTC医薬品関連企業等
- 調査方法: 同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用