適切なタイミングで情報提供 選択肢の事前準備が成功を呼ぶ
企業・ブランドにとってはメッセージ訴求内容の精査が難しい昨今。「リアルの場での集客やキャンペーン訴求を積極的に行えない代わりに、ECへの集客や飲食店の場合はテイクアウト訴求など、『今伝えられること』や『伝えるべきこと』の訴求により力を入れている様子が各社見受けられる」と久保田さんは語る。
「刻一刻と状況が変わる中で、適切なタイミングで適切な情報を訴求すべく広告素材を複数パターン準備し、配信する直前の情勢に合ったものを入稿するフローを構築する企業・ブランドも増えています。商品を売るべきシーズン、売上を作りたいタイミングは各社存在するはずです。決まりごとを守りながら顧客の気持ちに寄り添った訴求をするためにも、とくに今は選択肢を用意しておくことが重要と言えるでしょう」
リアルとデジタル双方でサービス提供を行う企業・ブランドの場合、従来はチャネルごとに分けていた予算をひとくくりにし、双方の訴求割合を柔軟にずらせるようにしているケースもあると言う。こうした動きにより、まとまった金額をひとつの施策に投下できる企業・ブランドも増え、今までは出稿できなかったTVCMなどにチャレンジする動きも垣間見られると久保田さんは分析する。
「これまで顧客接点を増やすためには、さまざまなチャネルに投資をすることが求められていました。しかし、街を往来する人の数が減る中では確実に人がいるところへ情報を届けることが必要です。そこで、在宅している人の目に触れるTVCMやウェブの動画広告への需要が増加しています。BtoB商材の場合は、ビジネスパーソンが乗車するタクシー広告への出稿も活発です。人の動きが変わる中で、どこに情報を届ければ自社の商材と相性のよい顧客と出会えるのか。こうした視点から出稿先を見極めることも大切です」