SNSでつながった海外ファンの「欲しくても買えない」を解決
SNSを中心に顧客とダイレクトにつながるD2C。インターネットにおいては、そのつながりは日本国内に限定されるものではない。ECサイトへのアクセスデータを分析してみると、海外からのアクセスが数%はあるというEC事業者は少なくないのではないか。それが偶然やデータの誤りではないことは、SNSのフォロワーやコメントの中に海外ユーザーの存在を見つけられることからもわかるだろう。
しかしながら、海外からの数%のアクセスを売上につなげられているEC事業者はそう多くない。なぜなら、言語、決済、物流の壁は厚いからである。その機会損失を防ぎたいと言うのが、タグ1行で海外販売を可能にする「WorldShopping BIZ」を提供する、株式会社ジグザグ 代表取締役 仲里一義さんだ。
コロナ禍によるリアルでのインバウンド減、ECサイト開設や利用者の急増など、リテール業界に大きな変化が起きた2020年。それを踏まえ、主にECでの海外販売を中心に、2021年に取り組むべきことについて話を聞いた。
日本へのニーズ健在 コロナ禍で海外からの売上が昨年同月比4倍に!
ジグザグは2015年6月に設立。ECサイトにタグを1行挿入するだけで、最短1日でウェブインバウンド対応が可能になるWorldShopping BIZを主事業に、越境EC支援事業を営む。導入ECサイトは、大手企業から地方の中小サイトまで約1,100を超える。月に50のECサイトが新規で導入している。
2020年のコロナ禍で激減したリアルのインバウンド。観光ついでの買い物がウェブに移行するだろうかという懸念を払拭するかのように、WorldShopping BIZを導入しているECサイトの海外売上は激増した。
「コロナ禍以前から伸びてはいましたが、コロナ禍以降、昨年同月比で海外売上が4倍にもなっています。インバウンド観光客が来訪していたデパートなど、リアルな商業施設様からも新規のお問い合わせをいただき、ECサイトへの導入が進みました」(ジグザグ・仲里さん)
海外ユーザーからニーズがあるのなら販売したい、しかしハードルが高いというEC事業者は少なくないだろう。実際に、外国語でのカスタマーサポートや、海外ユーザーが好む決済手段の導入、海外配送のハードルは高い。中国のTmallやAmazon.comなど、海外モールに出店したり、自社ECサイトを海外対応するのはそれなりの規模の投資が必要になる。
WorldShopping BIZを導入すれば、これらのハードルを一気に飛び越えることができる。独自ドメインのECサイトにJavaScriptのタグを1行設定するだけで多言語カスタマーサポート、海外決済対応(Alipay、銀聯、PayPal)から海外配送まで担ってもらえるため、面倒なことは一切なし。注文が入ったら国内ECの運営を何ひとつ変更することなく、国内の住所に商品を送るだけの作業負担だ。その仕組みを解説しよう。
海外ユーザーが日本のECサイトで購入できないひとつめの壁は、「カナ入力フォーム」と「国が選べない住所入力フォーム」である。海外ユーザーは商品画像とウェブ翻訳で商品を特定し、カートに入れたとしても、そこから先に進むことができないのだ。WorldShopping BIZは、まずこの課題を解決する。ECサイトにタグを設置すると、サイト下部に海外ユーザーだけに見えるバナーが出現する。それをクリックするか「カートに入れるボタン」を押下すると、ECサイトのショッピングカートではなく、WorldShopping専用カートに商品が入り、海外ユーザーに最適な住所入力フォームや決済方法で注文できるようになるのだ。
このように国内ECサイトと海外ユーザーの間に入り、不正決済の有無やそもそも海外配送可能な商品かを確認した後に、海外ユーザーの注文を受け付け、WorldShoppingがいち国内ユーザーとして購入代行を行う。ECサイトは前述のとおり、「注文が入ったら国内住所に商品を送るだけ」で売上が上がる。WorldShopping BIZは商品を受け取ったら、検品・輸出インボイス作成・海外向け梱包を行い、海外ユーザーから海外送料を受領し海外配送まで行うというもの。それが初期費用3万3,000円、月額5,500円(いずれも税込)で導入できる。海外販売を開始するというのに、EC事業者の負荷が限りなく軽いことがおわかりいただけるだろう。
「特許を取得しているのですが、一度WorldShopping BIZを経由することで不正決済を予防できるのが特徴です。実は私自身が前職で、私書箱を用意する海外転送サービス事業を世界展開する企業の代表を務めていました。その際、私書箱の住所を悪用した高額商品の不正決済が相次ぎ、商品を販売した企業様が泣き寝入りせざるを得ない状況を目の当たりにしていました。WorldShopping BIZでは、この不正決済のお悩みを解決するべく、海外ユーザーが国内ECサイトのカート画面に遷移することなく、我々がユーザーから注文を受け付け、購入代行するという仕組みを構築しました。この点において、被害に悩まれていたラグジュアリーブランド様や、人気PCやスマートフォン等の電子機器を取り扱う企業様にもご好評いただき、安心して海外販売ができるとのお声をいただいております」
なお、エンジニアがいないなど自社でのタグ設置が難しい場合は、ほとんどのカートASPで導入できるため調べてみよう。FutureShop、MakeShop、Shopify、カラーミーショップ、他JavaScriptタグを挿入できるカートASPであれば導入可能だ。とくにカラーミーショップでは、アプリをインストールするだけで海外販売が開始できる。最近の傾向では、カナダ発のサービスで越境ECに強いとされるShopifyについても、カスタマーサポートや物流の視点から、WorldShopping BIZを導入するD2C企業が増えているそうだ。