顧客を個でとらえ、線で見る 注視すべきは「変化」と「違い」
3月20日に書籍『最高の顧客体験を提供する「実感型」デジタルマーケティング』が東洋経済新報社より出版されたプラスアルファ・コンサルティング。定点観測でも取り上げてきたデータ活用における「実感」の重要性をさまざまな切り口から紹介した書籍となっているが、オフラインとオンラインの接点のありかたが大きく変化している今、企業には改めて実感を得る努力をしてほしいと山崎さんは語る。
「ここ数年、顧客体験(CX)を考えるうえで、オフラインの位置づけがたいへん重要なものだと考えられてきました。ところが、この考えかたを揺るがせるような事態になり、実店舗を軸とした施策検討が困難な現状です。このタイミングで自社のデジタル施策を再検討したい、CRMのやりかたを考え直したいという当社への相談も増えてきています」
果たして、どのような取り組みをすれば実感を得ることができるのだろうか。山崎さんは、「顧客を“群”で見るのではなく、“個”として見ることを忘れないでほしい」と述べる。加えて、顧客を個でとらえる際に、前回の定点観測で紹介した新たなフレームワーク「STPDCAサイクル」(従来のPDCAサイクルの前にSeeとThinkを足していく方法)を回しながらも、顧客を点で見るのではなく、線で見てほしいと伝えた。
「これは、カスタマージャーニーの考えかたにも近いですが、顧客の購買心理は、さまざまな経験を経て変化していくものです。購買に至るまでの流れの中で、どのように心理状態や価値認識が変化していくのか、ここに意識を向けてみてください。その上で、顧客同士の違いを比較し、『変化』と『違い』を見ていく。データからいかに顧客の存在を感じ取ることができるかがポイントです」