オーダーメイド特化ECシステム「GB Custom」開発元に聞く
オーダーメイドに特化したECシステム「GB Custom」(β版)を開発・提供する株式会社グッドべットは、ウェブメディア編集経験を持つCEO 戸澤高広さんと、ふたりのプログラマーで構成される会社である。2019年6月に会社を立ち上げてからは、顧客のフィードバックをもとに、改善を続けてきた。
「会社設立から1年、システム改修を続け、このタイミングでのリリースとなりました。会社設立時は、コロナ禍でEC需要が増加するとは思ってもいませんでした。たとえば、実店舗でスーツのオーダーメイドを営む企業様などからお問い合わせをいただいています」(グッドべット CEO 戸澤高広さん)
オーダーメイドが可能なシステムはこれまでないわけではなかった。GB Customは何が違うのか。すでに構築済みのふたつのサイトを見てみよう。
まずは、長財布のオーダーメイドを行う「WHY」のECサイト。形は「フラップ」「ラウンド」の2タイプから選択でき、本体と馬の部分の色をそれぞれ27種類から選択できる。2×27×27で1,458種類のパターンがある計算だが、サイト上で瞬時にそれぞれの色の組み合わせが反映される。
次に、ペット用の首輪・リードのオーダーメイドを行う「mmsu-ha」のECサイト。こちらは、首輪本体や金具、リボンの色のほか、部品の有無・大きさも選択でき、8,000万通り以上の組み合わせ数を実現している。
「パーツの写真を撮影し、色を変更することはデザイン処理でも可能です。パーツの撮影については当社で承ることも可能ですし、色の変更はクライアントの社内デザイナーの方が担当される場合もあります。一方で、あるパーツを追加したらこのパーツは表示する/しないといったことがオーダーメイドでは発生しますが、そういった複雑な組み合わせの実現はシステム側での処理となり、それを可能にするのがGB Customの特徴です。ECプラットフォームにも、追加のアプリケーションである程度のオーダーメイドに対応することはできますが、8,000万通りのような複雑な組み合わせは、私の知る限りでは実現できていないと思います」
ほかにも、無垢のテーブルの板の部分を、ECサイト上でサイズを自在に変えて好みのものを選んだり、ピザの生地やトッピングを選び、瞬時にECサイト上のビジュアルに反映させていくなど、さまざまな用途が考えられるのではないかと戸澤さんは言う。
Amazonの台頭もあり、コモディティ商材を扱うEC運営の難しさが問われて久しい。一方で、個々のユーザーのニーズにあわせたサービスを行うことは、効率を重んじる企業では難しく、ECのシステム上で魅力的に見せることも難しかった。ところが昨今、顧客と直接つながり、その声を反映して商品やサービスをアップデートし続ける、D2Cが支持を得ている。時代がより細分化されたニーズに応えるビジネスを後押ししている。
「既製品がECにおいて価格競争に陥りがちなのは、私たちも課題として捉えていました。『うちでしか作れないよ』というものを、そのお店らしく売っていただく仕組みとしてGB Customを使っていただければという思いがあります」
ビフォアコロナの時代には、オーダーメイド製品を手掛ける職人は、顧客に来店してもらい、実際に素材を手にとって選んだり、ニーズを聞いて提案することで、たったひとつのものを作り上げていた。理想のものを作り上げるためには、複数回の来店が必要になることもあったが、顧客もそれに応えてくれていた。オーダーメイドを可能にするECシステムは、ある意味不要だったとも言える。それがコロナ禍によって顧客の来店が難しくなり、オーダーメイド自体が不可能になったと考え、店をたたもうとしている職人も少なくないと言う。
「複雑な組み合わせのオーダーメイドも実現するECシステムができました。まだβ版ですが、多くの方に使っていただき、フィードバックをいただければと考えています。コロナ禍でリアルでのビジネスが難しくなった方をはじめ、ぜひ多くの方に知っていただき、お気軽にお問い合わせいただければと思います」