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2024年8月27日(火)10:00~19:15

インバウンドビジネス最前線

コロナ禍のインバウンド激減で越境ECが再注目!売れる自社サイトを作るコツはモールとの併用にあり


 コロナ禍でインバウンド観光客が激減!売上を補填すべく、越境ECサイト制作へのニーズが殺到していると言う。株式会社ジェイグラブ 代表取締役 山田彰彦さんに、改めて越境ECの売れるノウハウを伝授してもらった。

インバウンドの売上減を越境ECですぐになんとかしたいと言われても

――御社ジェイグラブは、越境ECサイトの構築実績が豊富なことで知られています。まず、コロナ禍によるECへの影響を教えてください。

山田 まず海外のEC事情についてお話しすると、Adobeのデータによれば、アメリカは25%、イギリスでは33%など、ECサイトでの利用率は上昇しています。売れ筋商品としては、商品としてはフィットネス系の商品、たとえばプロテイン、サプリメント、ランニングマシン、バーベルセットなど。子どもと遊ぶためのゲームや、デジタル系だとパソコン、タブレットなど。やはり、家で過ごすための商品が売れたわけです。

 日本においてもECでの購入は増えたというデータが出ていますよね。ECに対してポジティブな印象を持っていなかった人たちも、ECで買わざる得ない状況でしたから。今の段階ではECサイトでの売上が落ちる兆しはありません。

ジェイグラブ株式会社 代表取締役 山田彰彦さん

――ジェイグラブに寄せられる、ECサイト構築などの依頼はどのような状況でしたか?

山田 3月、4月は異常でした。1日に何本も「越境ECサイトを作りたい」というお問い合わせをいただきました。ほとんどが、インバウンド系の企業様からのお問い合わせでした。自転車レンタル、SIMカード、ホテル民泊、お土産専門店まで幅広くです。ある日、とある企業様からいただいたお電話では「売上が90%以上ダウンしていて厳しい状況です」と。思わず「90%以上ですか!?」と聞き返してしまいましたよ。

 非常に緊迫した状態で「越境EC事業をゼロから作り上げていかなければなりませんので、なんとか助けてください!今すぐ越境ECサイトが必要なんです!!」とまで言われた企業様もありました。ひと月に10社以上、同じ内容のご相談を受けていたという具合です。

 当社としては「多言語多通貨に対応したECサイトを急ぎで制作しますね」という感じで進めていきましたが、実は多くのインバウンド事業者は、通販で外国に物を売った経験がないんです。しかし、そんなことを言っている場合ではない状況のようで、スピード感を持って越境ECサイトの構築を開始しています。皆さん、会社を存続させたいですから、必死です。

 越境ECに関するウェブセミナーへのお申込みも絶えずいただいています。「越境ECの基礎を教えてほしい」「どのような方法で販売すると失敗しないか」「ECカートやモールの選択は」といったご質問をいただきます。5月末開始のIT導入補助金や持続化補助金を待って越境ECを始めるという企業さんも、当社がお手伝いするところだけでも20社はいらっしゃいます。

――実際に海外に物を売るって、たいへんですよね?

山田 そのとおりです。eBayやAmazonなどの海外ECモールを見てもわかりますが、同じようなものがたくさん売られています。ですから、ご相談をいただいた場合にも、こんなふうに厳しい現実をお伝えしてしまうことが多いんです。

 「越境ECで3ヵ月で売上を上げたいんです」
 「そんなに早く売上は立ちませんよ。初年度はほとんど赤字です。それでも越境ECに参入されますか?」
 「いやいや、今、赤字なんですぐに売上が欲しいんです」
 「いや、無理です。初年度は投資したお金を回収するので精一杯ですよ。2年目でようやく少し利益が出るようになる程度です」

 やはり長期戦で考えることが重要で、数ヵ月で売上をあげるような考えでは越境ECは成功しません。すぐ、簡単に何億、何十億円も稼げるのは非常に稀なケースです。業態転換される企業様はそんな夢を抱かれるみたいですが……。「ぜひやりましょう。越境ECサイトですぐに売上あげましょう」と言ったほうが依頼も増えますから、言えるものなら言いたいです。でも私たちは、サイトを作るだけでなく、越境ECをビジネスとしてしっかりと成功させたいですから、夢物語は言いません。数ヵ月で1億円稼げるなら、皆やってますよね?

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この記事の著者

浦澤 修(ウラサワ オサム)

ライター・編集/株式会社オージャパン 代表取締役 浦澤修

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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