618商戦から見えた中国ECの現状と今後の兆し
中国のショッピングイベントとして有名なのは毎年11月11日に開催される「ダブルイレブン(独身の日セール)」だが、それに次ぐイベントとして大きな賑わいを見せているのが「618」だ。前者はアリババが、後者はジンドンが自社のプラットフォームで始めたセールだったが、今では中国のEC全体でのお祭りとなっている。ジンドンの発表によれば、6月1~18日に開催した「618」セールの累計注文額が2,015億元(約3兆2,240億円、1元=約16円)に達したとのこと。2018年は1,592億元だったため、26.6%上回ったことになる。
「618当日の売上ではなく、18日間の累計の数字であることを見逃さないようにしたいところです。ダブルイレブンとも共通する傾向ですが、売れ筋商品は決まってきていて、セールにあわせて値引きした生活雑貨や、618なら夏に備えた日焼け止めのようなシーズン品。メーカー側はイベントにあわせて新商品を企画したようですが、なかなか売れないと嘆く声を聞きました。以前のように、日本製だからという理由だけで飛びついてくれるようなことは減ってきています」
キャッシュレス決済やニューリテールなど、アリババの強さは日本でもよく知られる。一方のジンドンは、中国への越境ECを考えるなら2番めに名前が挙がる存在だ。越境ECプラットフォームとしての勢力図はどのようになっているのだろう。
「アリババが運営するCtoCを軸としたタオバオとBtoCを軸としたTmall、ジンドンが運営するJD.comの三強と言っていいでしょう。そのうちふたつは、アリババですね。プラットフォーム側は利益が出るものしか仕入れないし、買い手側はお得なものしか買わないため、中国への越境ECを取り巻く環境は相当厳しくなっています」取材時点で、すでにダブルイレブンの準備が進められている。2019年の結果がどうなるかは、次の定点観測でお届けする予定だ。