今、目の前に社長室のドアがある。社長の顔は、年に一度の店長総会でしか見ることがなく、もちろん話したこともない。『何でこんなことに……』と思いつつ、震える手で重厚なドアをノックした……。
さて、あなたは、スーパーとドラッグストアを全国で500店舗展開するグリーンホールディングス社の名古屋支部で、店長の指導役として勤務しています。デジタルガジェットと読書が趣味で、健診で尿酸値がひっかかり大好きな酒を節制しなければならないのが悩みのアラフォーです。
ある日、かつてよく飲みに連れて行ってくれた上司、現在は常務に「飲みに行こう」と呼び出され、東京の本社に顔を出すことになりました。新幹線に乗り、100分で東京・豊洲駅に降り立ちました。迷わずに本社にたどり着き、常務にあいさつに行くと、もうひとつの肩書「経営企画室長」というポジションが目につきました。ぼんやりとそのプレートを眺めていると、急に常務の声色が変わり、こんな命令が。
「普段通りに話せば良いから、すぐに社長室に行け」
それ以上の説明はなかったものの、事態の重大さを悟り、あなたは頷きました。室長室と同じフロアの、廊下の角を曲がり、もうひとつ角を曲がり……と繰り返すうち、いちばん奥に、冒頭の重厚なドアが現れたのです。
震える手でノックを3回するとともに自分の名前を名乗ると、入るよう促す声が。ドアを開け、深々とお辞儀をし、社長に促されたソファーに腰を下ろします。普段名古屋で座っている安物の椅子とは大違いで、どこまで沈み込むのかという柔らかさで落ち着かない。快適さではなく、アウェー感が加速します。
社長 常務に君の話を聞いてね。デジタル関係に詳しいそうじゃないか。
あなた 新しいモノを体験するのが好きなだけですよ。スマートスピーカーの新作もいち早く入手して、先週妻に怒られたところです。デジタルは好きですが、Twitterで社外の友人から情報収集する程度の素人ですよ。
社長 我が社が5年前から、EC事業に取り組んでいることは知っているだろう?
あなた あなた(立ち上げは社内報で読んだけど、そういえばどうなっているのかな…?)はい。
社長 これからはECの時代だと思うのだが、我が社では赤字が続いている上に、当時ヘッドハントした彼が先日退職してな。そこで、常務が推薦するキミにEC事業部長を任せようと思って呼び出したのだよ。
あなた (聞いてないよ)……。
社長 グリーンHDの未来を君に託すからな。よろしく!
あなた (断ったらどうなるか……)はい、がんばります。
そうして東京本社EC事業部に転勤し、3ヵ月が経過しました。メンバーとは打ち解け、みんなが責任者の交代を前向きにとらえてくれています。メンバーの話を聞き、EC関連の本を読むことでひととおりのECの基礎知識はついてきました。ECスタープレイヤーと呼ばれる方々の講演を聞き、彼らが良いと言っていたツールも導入。変化の激しいウェブまわりのアップデートに追いついていくためにも、常に情報収集を行っています。広告費も以前の倍にしました。しかし、なかなか業績は良くなりません……。
さて、この状況を改善するために、あなたならどうしますか?
- 今の運用をもっとがんばる。
- 情報収集のセミナー・展示会に行く回数を増やす。
- 広告費を増やし、集客をがんばる。
- 他社で効果が出た新たなツールを、追加で導入する。
- 1~4を全部がんばる。