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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

アパレルECの今を語る

ベイクルーズからデイトナへ 100億円規模だからこそできるアパレルECの戦い方とは[前編]

ツールに頼り切りにせず、シナリオの作成はアナログで一つひとつ

川添(V) もう少し細かい施策の話もお聞きしたいですが、現在力を入れている取り組みはありますか?

小林(F) SNSやメルマガなどは、シナリオを描いて運用するようにしています。データ解析は行いますがツールに頼りすぎないように、ということを心がけています。たとえばメルマガでは、「〇月にこれを買ってくれたお客様にはこういう案内をしよう」というように、アナログに、一つひとつ考えることを大事にしています。

川添(V) シナリオは具体的にどのように決めていくんでしょうか。販促スケジュールとはまた別の考え方なんでしょうか。

小林(F) 基本的にベースで考えているのは、お客様の年間のライフサイクルです。それはアパレルのシーズン性ということではありません。アパレルは3月が立ち上がりと言われていますが、実際にお客様が購入したいのは、一般的に新生活がはじまる3月後半から4月の中旬くらいまで。お客様の行動とアパレルの商品のサイクルを照合した時に、どういったアプローチをするべきかを月ごとに決めていきます。

また、たくさんのポイントをお持ちのお客様に、いつまでにポイントを使っていただきたいか、といった視点も必要だと思っています。

たとえば昨年の秋に宅配クリーニング「リネット」と行った施策(参照リンク)のときには、新規会員のカナダグースなどを9月から発送しました。デイトナでは、購入後60日以内にリピート、ポイントを利用していただきたいと考えているため、この例でいうと2ヵ月後の11月まで最適だと思う商品をレコメンドしました。

ポイントをためたい、たまったポイントで買い物がしたいと思っていただくためにはどのタイミングでセールを行うか、どのような施策が効果的なのか、なども常に意識しています。

川添(V) 「シナリオをつくっていく」という考え方はとても参考になります!おっしゃる通り、企画と販売だけでなく、店舗とECでも顧客の消費サイクルはも少しズレますよね。そのズレをなくしていく作業は、実際に販売する現場起点で考えれば当たり前ですが、ECではこういう細かい調整は、こぼれやすい部分でもあると感じています。コンテンツの作り方や売上を上げるだけでなく、そういった取りこぼしを拾うような考え方は、いつ頃から持っていましたか?

小林(F) 新宿のEDIFICEにいた頃からですね。新宿はすごく面白い街で、ファッションの感度が高い人もいれば、そうでない人もいます。そこに対してどうセールスをしていくかを考えた時、ライフサイクルはすごく重要だと思ったんです。

川添(V) その頃は店長をやられていたんですよね。路面店のEDIFICE新宿店はディスプレイがとても印象的で、新宿エリアでは私のお気に入りのお店です。店の前を通るとディスプレイに目がとまって、フラッと入りたくなるお店ですが、そういうお店は本当に少なくなったように感じます。私は、自社ECは「路面店」と同じだと捉えています。共通項も多いと思うのですが、店長時代に培った知見は、自社ECの運営に活きていますか?

小林(F) 活きるところか、むしろ全く変わらないですね。ウィンドウは画像、接客はコメント、レジ周りは決済のシステム、といったようにすべて置き換えられるので、店長経験があれば、ECでも十分通用すると思いますよ。

<後編へつづく>

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この記事の著者

コマースプロデューサー 川添 隆(カワゾエ タカシ)

組織で動く企業の中で、組織・チーム・ユーザーのバランスをとりながら”組織Eコマース&デジタル推進”を泥臭く改革進める人。2社の企業再生経験があり、独自の方法論と実践を通じてEコマース事業において、1社では売上を10倍以上に、5社では2倍以上に増加させてきた。2017年より代表を務めるエバンで小売企業...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

ECzine編集部 中村 直香(ナカムラナオカ)

ECに関する情報を、正確にお届けできればと思います。よろしくお願いいたします。

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