記事種別

[対談]ナノ・ユニバース越智さんが話す、試行錯誤の末に辿り着いた「オムニチャネルの答え」とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • プッシュ通知を受け取る

「オムニチャネルをおそらく一周した」 その真意とは

川添(M):多くのアパレルブランドで課題になっているオムニチャネル推進についても、考えをお聞きしたいです。デジタル上で情報を取得し購入まで完結できる時代において、「店舗の価値」を見直す時期に来ていると感じます。

株式会社ナノ・ユニバース 経営企画本部 WEB戦略部長 越智将平さん
株式会社ナノ・ユニバース 経営企画本部 WEB戦略部長 越智将平さん

越智(N):この3年くらい、僕もオムニチャネルについて悩みに悩みました。そのなかでひとつ辿り着いた答えは、僕が何もしなくても店舗はなくならないということです。

そう思った理由は、おそらくオムニチャネルを一周したからだと思うんですよね。2013年くらいからオムニチャネル改革として、自社ECのリプレイスやシステムの変更、顧客一元化や在庫一元化なども一通りやったんですが、2015年から16年に関しては店舗の売上がその影響を受けてしまいました。

ですがこの2017年の下期に、EC化率が過去最高まで上がったんです。今、EC化率をあげるのはあんまりよくないのではという風潮もありますが、オムニチャネル化で最初に直面する「店頭がショールーム化して、その分ECが売上を吸い上げてしまう」という問題が一周回って、今度は「ECを見てからお店に来る」という人が増えているんです。

そのせいか、今期は店舗の売上も昨対を超え始めています。それはもちろん店舗の努力のおかげですし、好景気の影響もあるかもしれないですが、高単価のオリジナル商品も売れるようになってきました。

そう思うと、店舗の存在価値は僕達が作るというより、お客様が勝手に見つけてくれるんじゃないかという気がしています。僕らの役割は、ECサイトや商品画像のビジュアルをよくして、店舗で見てみたいと思ってもらえるようにアシストする仕組みを、構築していくことなんだと思います。それができればナノ・ユニバースはあと1年くらいで、店舗とウェブを回遊するような理想の形が出来るんじゃないかと思っています。

「店舗とECサイトの合間をアシストすることが僕らに出来ること」

川添(K):チャネルの選択はその時に応じて瞬時に行なわれますし、そもそも小売りは最終的に「お客様が何を選択するか」に委ねられるので、同じEC・オムニチャネル担当としてはすごく納得できます。店舗とウェブを回遊するサイクルを作るための施策って、今すでになにか始めているんですか?

越智(N):2017年の12月にアプリをリニューアルしました。これがまさにその施策のひとつで、表の顔としては自社ECのアプリ化です。

裏のテーマは、お客様にカタログとして使ってもらえるアプリ。僕はアプリでお気に入り登録してもらえれば満足なので、お気に入り数を獲得するというのが最大の指標になっています。

お気に入り登録をした商品が入っているアプリを持っているお客さんが店舗の近くを通りかかると、GPSでその位置を確認し、在庫があれば「登録したお気に入り商品が目の前の店舗にあるので、ぜひ立ち寄ってみて下さい」という感じでプッシュ通知を送る。それを見たお客さんが試着だけでもしていこうかなと思ってもらえるきっかけになれば嬉しいですね。

あとチェックイン機能を利用して来店するとスタンプがたまる仕組みになっていて、20回たまると1000円分のポイントがつきます。毎日お店の前を通勤途中に通るOLさんとかに、チェックインするだけでもいいので、帰りにふらっと寄るきっかけになればなと。

アプリでは、お気に入り登録をした商品の在庫が店舗にあるかどうかを確認することができるので、たとえばお店に向かう電車の中で商品をお気に入り登録すれば、在庫の有無がわかった状態でお店に入ることが可能です。「この商品、在庫ありますか?」と、お客さんがアプリを見せながら店舗スタッフに声をかけてもらえるようになったら嬉しいですね。

川添(M):アプリの基本的な役割を「購入チャネル」から「カタログ」にシフト、ユーザーが能動的に行う「お気に入り登録」をアプリ機能の真ん中に据えたということですね。大胆な決断ですが、その流れは正しいと思います。

例えば、PARCOのスマホアプリ「POCKET PARCO」やBEAMSの自社ECサイト、そしてZOZOTOWNもユーザーの「お気に入り登録」が起点となって、その後のコミュニケーションが生まれる仕組みになっています。

越智(N)EC、店頭、アプリ、それぞれだけで完結するというよりは、お互いを行き来してもらえることが理想です。

欲しいものがあった時にECで買う人もいれば、試着をしたい人もいる。でもそれって、僕がコントロールできる話ではないですよね。例えばさっきのようにお店の前を通りかかった時にプッシュ通知を送ることで商品を思い出してもらうなど、店舗とECサイトの合間をアシストすることが僕らに出来ることなんじゃないかなと思っています(続く)。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • プッシュ通知を受け取る

バックナンバー

連載:アパレルECの今を語る

もっと読む

2018年09月の人気記事ランキング

All contents copyright © 2013-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5