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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

アパレルECの今を語る

[対談]ナノ・ユニバース越智さんが話す、試行錯誤の末に辿り着いた「オムニチャネルの答え」とは


 アパレルEC関連のさまざまなゲストをお招きし、ビジョナリーホールディングスとメガネスーパーでEC・オムニチャネル推進を統括する川添隆さんと対談していただくこのコーナー。第15回は、ナノ・ユニバースのWEB事業責任者として、EC事業の拡大、デジタルマーケティングを中心に取り組み、現在はオムニチャネル戦略を推進している越智将平さんが登場です。

「ECで買うならZOZOでいいじゃんと思うところもある。でもそれだけじゃいけない」

ナノ・ユニバース越智さん(左)とメガネスーパー川添さん(右)
ナノ・ユニバース越智さん(左)とメガネスーパー川添さん(右)

川添(メガネスーパー、以下M) 最初に越智さんとお会いしたのは、飲み会の席でしたよね。

越智(ナノ・ユニバース、以下N) 当時僕たちはZOZOTOWNを目一杯使ってEC運営をやっていました。それが2013年くらいに自社ECをやろうとベンダーさんを探していた時に、先んじて導入されていた先輩として川添さんにお会いしました。その前に一度、ECのカンファレンスのようなものに川添さんが登壇されていた時に紹介してもらったのが最初ですね。

川添(M) ZOZOTOWNにはかなり初期の段階から出店されてましたよね。いつごろからですか?

越智(N) 2005年から出店していたので、セレクトショップの中では結構早かったと思います。店舗数が少なかったことや、メンバーも平均年齢が若くベンチャー気質だったこともあって、型数の制限などもなく自由に運営できるZOZOTOWNに魅力を感じていました。

川添(M)  まだまだ当時、アパレル業界でEC黎明期だったと思いますが、社内で反対などはなかったですか?

越智(N) なかったですね。MDもバイヤーも企画も生産もみんな一丸となって、ZOZOTOWN=ECという思いでやっていました。

川添(M)  そんな中、自社ECサイトも開設されましたが、どうやってZOZOTOWNと棲み分けをしていかれたんですか?

越智(N) 現状としては、ZOZOTOWNは自分たちだけではリーチできないお客さんを広く取ってきてくれるディベロッパーのようなところ、自社ECはファンのためのサイトだと考えています。

僕自身、ECで買うんだったらZOZOTOWNでいいじゃん、って思っているところも正直あります。今、「セレクトショップはナノ・ユニバースだけで買います」っていう人は誰もいないですからね。色々なお店と比較して買うのであれば、同時にカートに入れられるZOZOTOWNのほうがきっと便利ですし。そうなると、ユーザー目線で考えたらZOZOTOWNで十分じゃないかということになってしまう。

ですが「ナノ・ユニバース」と検索をしたうえに、アカウントまで作ってくださる、超優良顧客のポテンシャルをもったお客さんに、しっかりサービスを提供する場にしたいという気持ちで自社ECは運営しています。

商品画像の縦幅を可変式に 商品を最も魅力的に見せるための工夫

川添(M):ナノ・ユニバースを検索してたどり着いたユーザーに対して、どのようにブランドや商品を見せるかは重要なポイントですよね。例えば、ZARAのスマホアプリの商品一覧は、画像のサイズを変えることで強弱がつけられています。一方、ナノ・ユニバースの自社ECサイトでは、商品一覧での商品画像の縦幅がそれぞれ異なっていて、工夫されているなと思っていました。これは1品番ずつ調整されているんですか?

越智(N):運用上はすごく手間になるので本来は避けるんですが、ご指摘の通り、サムネイル画像の縦幅を一つひとつ自由に変えられるようにしています。全て同じサイズで掲載されているモールのような形ではなく、こういう見え方であればお客さんの購買意欲が最も高まる、というカットにあわせて幅を設定しています。どうやってトリミングするかは、カメラマンの感性に全て任せています。

例えばレディースのパンツ。一般的にパンツをモールなどで掲載すると、基本的にトリミングが1パターンなので、ディテールが見えなくなることがあります。でも一部分を切り取ったらわからないけど、全身やコーディネートを見せると伝わる商品の魅力もあると思うんです。そんな思いでこのやり方を続けているのですが、これはお客さん目線というより、僕たちのこだわりかもしれないです(笑)。

ナノ・ユニバース公式オンラインショップにて、レディース・パンツでセグメントした検索結果ページ。商品の魅力が一番伝わる縦幅にトリミングされている。
ナノ・ユニバース公式オンラインショップにて、レディース・パンツでセグメントした検索結果ページ。商品の魅力が一番伝わる縦幅にトリミングされている。

川添(M):それぞれの商品カテゴリや、コーディネートとして見せるべきポイントに応じて、調整をされているんですね。私自身も日々の業務では、「ブランド・EC店舗としてのこだわり」を考えの中心に据えているので、この見せ方には納得です。また、会員登録とポイントの仕組みについても以前から気になっていました。

越智(N)ポイントは、個人情報を登録していくと還元率が上がっていくことが特徴です。個人情報とトレードオフするような形で、個人情報の登録数に応じて還元率がアップします。顔写真を登録すると1%、クレジットカードの情報を登録するさらに1%という感じで、最大だと9%まで上がります。

あと昨年からずっと大事にしているのは、店舗と自社ECを並列で考える、ということです。なかでも「店舗とECの回遊」は、すごく大事なキーワードになっています。そういった意味でもこの自社ECは、店舗にいくための呼び水というか、店舗に行く前のカタログのような感覚で使っていただきたいと思っています。

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この記事の著者

コマースプロデューサー 川添 隆(カワゾエ タカシ)

組織で動く企業の中で、組織・チーム・ユーザーのバランスをとりながら”組織Eコマース&デジタル推進”を泥臭く改革進める人。2社の企業再生経験があり、独自の方法論と実践を通じてEコマース事業において、1社では売上を10倍以上に、5社では2倍以上に増加させてきた。2017年より代表を務めるエバンで小売企業...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

ECzine編集部 中村 直香(ナカムラナオカ)

ECに関する情報を、正確にお届けできればと思います。よろしくお願いいたします。

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