ネット旅行代理業、注目の2社はここだ
格安航空券を取り扱う「スカイチケット」サイトを運営するアドベンチャーの会社設立は2004年、サイトの運営開始は08年である。株式上場は14年だ。
一方、「エアトリ」サイトのエボラブルアジアは、07年の会社設立で、株式上場は16年である。
アドベンチャーのほうがやや先輩ともいえるが、2社とも経営トップは1982年生まれの同世代。売上高もアドベンチャー52億円(17年6月期)、エボラブルアジア55億円(17年9月期)と、ほぼ同水準である。
インターネットが急速に普及していく過程では、ネットと相性がいい事業は金融、それにトラベル関連との指摘が多かったが、それを具現化した1社は楽天(4755)だ。
楽天は現在、銀行、証券、カード、保険業でそれぞれの子会社を擁して大きな収入源とするなど、総合的なネット金融サービス事業を展開。朝日火災海上保険を買収して、損害保険事業にも参入する。トラベル関連でも03年に宿泊予約サイト「旅の窓口」を運営していた日立造船(7004)の子会社や、高速バスの予約サイトを買収するなど、自社サイト「楽天トラベル」のサービス・機能の強化を推進してきた。
楽天の16年度旅行取扱高は5,568億円。およそ1兆5,000億円のJTBに次ぐ2位である。いずれも4,000億円台にとどまる大手3社、近畿日本ツーリストなどで構成されているKNT-CTホールディングス(9726)、格安海外旅行のエイチ・アイ・エス(9603)、JR西日本(9021)の子会社である日本旅行を上回るまでポジションをアップしてきた。
アドベンチャーとエボラブルアジアの取扱高は、その楽天どころかDeNA(2432)の546億円(16年度)を下回るのが現実だが、両社はどんな目標や戦略を描くのか。
世界的には、取扱高が7~8兆円のプライスラインやエクスペディアといった企業も存在する。いずれも米国企業で、プライスラインは宿泊やレンタカー予約に強く、エクスペディアは積極的なテレビCMを流しているホテル料金比較サイトのトリバゴ(独)などを子会社に持つ。
アドベンチャーは「利益より成長を優先」と、30年の取扱高1兆円(国内3,000億円、海外7,000億円)という大きな目標を掲げる。エボラブルアジアも取扱高1,000億円達成を19年には実現するとしている。訪日外国人の急増や格安航空であるLCCの普及などの追い風を受け、取扱高シェアの拡大につながると踏んでいるわけだ。
アドベンチャーとエボラブルアジアのビジネスモデルを見てみよう。