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2024年8月27日(火)10:00~19:15

EC関連企業の財務状況をきまぐれにチェック

楽天25周年!日本のネットをリードしてきた楽天とヤフーはいま何で稼いでいるのか

 日本のネット社会をリードしてきた楽天とヤフーの「現況」に迫ってみた!

楽天市場、検索のヤフー誕生から四半世紀 売上高100億円に満たなかった企業が今や……

 楽天(現在の商号は楽天グループ)がネットでのショッピングモール「楽天市場」のサービスを開始したのは1997年である。株式上場は2000年。同年12月期の売上高は、32億円だった。情報検索サービス事業のヤフーの誕生は1996年。楽天の1年先輩だ。株式公開は1997年。2000年3月期の売上高は56億円だった。

 当然のことだが、両社ともスタート時の売上高は100億円に満たなかった。およそ25年を経過した現況はどうか。企業としての立ち位置が大きく異なっていることもはっきりしている。  

楽天グループとヤフー含むソフトバンクグループの比較

 設立時の社名はエム・ディー・エム。1999年に楽天、2021年に現在の楽天グループに商号を変更してきた同グループは、売上高を1.6兆円(21年12月期)まで伸ばしてきた。

 ヤフーの場合は、少し説明がいる。携帯電話事業を主力とするソフトバンクの子会社として出発した同社は、検索事業に加え、ネットオークション「ヤフオク!」や「Yahoo!ショッピング」なども展開。19年には持株会社のZホールディングス(HD)を設立し、現在はグループの中核企業としてネット広告やeコマース事業を展開している。

 ヤフーを中心とするZHDの売上高は、楽天グループをやや下回る1.5兆円(22年3月期)である。

  ヤフー(ZHD)は、携帯電話事業が中心のソフトバンクの子会社であり、ソフトバンクは投資事業が本業のソフトバンクグループの子会社という関係だ。わかりやすくいえば、ヤフーはソフトバンクグループの孫会社である。

 ソフトバンクの22年3月期売上高はおよそ5兆7,000億円、ソフトバンクグループは6.2兆円。売上高でいえば、ヤフーなどを含めたソフトバンクグループは、楽天グループのおよそ3.7倍規模である。

  親でもあり長男の役目も担う楽天グループ。それに対してヤフーは、親会社のソフトバンクや、そのまた親会社であるフトバンクグループを支えるために必死に稼いでいる孝行息子・孫という立場だ。頂点に立つソフトバンクグループは、投資事業に注力しているだけに浮沈が激しい。

楽天とヤフーは何で稼いでいるのか

  楽天グループとヤフー(ZHD)は、具体的には何で稼いでるのか? 

  楽天グループは、展開している事業を「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の3つに分類。それをより具体化したものが表である。

楽天グループ

20年12月期 21年12月期
楽天市場・トラベル 3,109億円 3,897億円
楽天ブックス 526億円 580億円
OverDrive 179億円 (売却)
楽天カード 1,834億円 1,915億円
楽天証券 661億円 863億円
楽天銀行 768億円 784億円
楽天損保 541億円 434億円
楽天生命 377億円 408億円
楽天モバイル 1,253億円 1,466億円
その他 ── ──
合計 1兆4,555億円 1兆6,817億円

  楽天グループは「楽天市場」「楽天トラベル」「Rakuten24」「Rukuten Rewards」などのECサイト運営(インターネットサービス事業)と、「楽天カード」「楽天証券」「楽天銀行」などで構成される金融(フィンテック事業)を中心に業績を拡大してきた。

 ECサイト運営による国内流通総額は5兆円を突破するまでになった(21年)。プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天野球団)の参入が承認された2004年当時は、3,000億円強にすぎなかった。

  楽天グループで目に付くのが、金融事業である。経営トップが大手銀行出身ということもあり、ネットと金融の相性の良さをいち早く見抜いたといっていいだろう。企業買収を進めたことで現在では証券、カード、銀行、生命保険、損害保険を展開しており、総合金融サービス会社と呼んでもいいほどだ。電子マネー(楽天Edy)のサービス提供も手がける。楽天銀行と楽天証券は株式上場を予定。楽天証券は楽天証券HDに改組する。  

  広く知られるように、最大の経営課題はモバイル事業だ。20年4月に自ら基地局などを設置・所有する通信会社、いわゆるキャリアとして携帯事業に本格参入したが、基地局整備に巨額の資金を投じている負担が重く、グループ全体で赤字経営に陥った。「0円料金プラン」を廃止したことで、順調に伸ばしてきた加入者が他社に流失するという事態も招いている。

  「楽天市場」などの利用拡大といった相乗効果を目的にモバイル事業に参入したことは明らかであり、設備投資にメドをつけ投資資金の回収に転じたいところだ。 

  楽天グループのモバイル事業を担当する楽天モバイルの売上高は1,000億円台。ソフトバンクのモバイル事業の売上高はおよそ2兆円である。

ヤフー(ZHD)

21年3月期 22年3月期
ヤフー広告 3,001億円 3,329億円
LINE広告 154億円 1,872億円
物販EC 5,902億円 6,542億円
サービスEC 158億円 176億円
フィンテック 854億円 1,086億円
その他 ── ──
合計 1兆2,058億円 1兆5,674億円

  ヤフー(ZHD)の経営の根幹は広告収入である。ウェブサイト閲覧者が広告をクリックした時点で収益が発生する検索広告と、ウェブサイト上に契約期間などを定めて広告を掲載するディスプレイ広告が2本柱だ。広告収入が多いLINEも子会社として、完全にグループに加わった。

  買収・子会社化したオフィス用品通販のアスクル、ファッション通販のZOZOなども含めて、物販ECによる収入も拡大傾向を示している。

  一方、金融事業については楽天グループに比べて大きく出遅れたといっていい。PayPay銀行、PayPayカードなどを次々とグループ化するなど、金融事業に本格的に着手するようになったのは、最近といってもいいほどだ。

楽天とヤフー、直近の経営状況をチェック

  直近の22年4月-6月の経営実績はどうか。

22年4月-6月の経営実績

  楽天グループは、「楽天市場」を中心とする国内EC流通総額を伸長。とくに「楽天西友ネットスーパー」の伸びが目立つ。フィンテック(金融事業)も堅調に推移。22年6月末の「楽天カード」累計発行枚数は2,669万枚、4-6月のショッピング取扱高は4兆4,657億円(前年同期比28.8%増)だった。

 グループ全体では売上高は前年同期比で13.5%増だったが、課題のモバイル事業が依然として赤字を計上しているため、グループ全体の最終赤字は膨らんだ。

  ヤフー(ZHD)は、売上収益全体の4割を占める広告収入を伸長。eコマース事業(売上収益全体の52.6%)も確実に伸ばしている。課題は、PayPayブランドを中心とする金融関連(戦略事業)の黒字化だ。ただし、全体としては堅調に推移しており、創業からの利益の蓄積である利益剰余金、いわゆる内部留保をおよそ4,000億円まで積み上げている。

 赤字経営が続いている楽天グループが、利益剰余金も赤字(△512億円)に転落したのとは対照的だ。楽天グループも一時期は、4,000億円を超す黒字を計上していた。

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この記事の著者

ビジネスリサーチ・ジャパン(ビジネスリサーチ・ジャパン)

1995年設立。代表・鎌田正文。週刊誌や月刊誌、経済誌などを中心に、金融・流通・サービス・メーカーなどの各分野から経済全般まで、幅広く取材・執筆。著者に『図解! 業界地図 2023年版』(プレジデント社)、『図解 これから伸びる企業が面白いほどわかる本 2012年版』(新人物往来社)、『図解 人気外食店の利益の出し方』(講談社+α文庫)、『[図解]儲けの秘密がよくわかる本』(PHP研究所)、『[図解]気になるあの会社の給料がわかる本』(PHP研究所)『取締役の値段 6: 社会インフラ関連業界 [Kindle版] 』『数字でわかる! あの企業・店舗が儲けている仕組み』など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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