アイスタイル、連続増収の背景に柔軟な「事業区分」変更
日本最大の化粧品・美容サイトといわれるのが「@cosme(アットコスメ)」である。運営しているアイスタイルによれば、「毎月の利用者は1,330万人。20~30代女性の3分の2以上が毎月利用している」という。サイトへのクチコミなどをベースにした各種化粧品のランキングへの注目は高く、化粧品の購入などで参考にする女性も多いようだ。
アイスタイルは、企業向けの「B2B」と個人向けの「B2C」というネットビジネスに加え、現在は化粧品の実店舗も展開する二刀流だが、設立は1999年7月で、同年末には「アットコスメ」をオープンした。
翌2000年には、化粧品メーカーへの各種マーケティング支援サービスを本格始動。オンラインショッピングサイトをオープンし、EC事業をスタートしたのは02年である。07年には実店舗第1号店を東京・新宿に開店。有料サービスを提供するプレミアム会員の募集に着手したのは10年。株式の上場は12年である。
上場にたどりつくまでの間、ヤフー(4689)やサイバーエージェント(4751)、講談社からの出資も受けたりした。
アイスタイルの事業区分の推移
同社は17年6月期まで連続増収を継続中だが、その軌跡は事業区分の変更からもうかがえる。業務の拡大や海外展開の推進に合わせて、事業区分を変えてきた経緯がある。 たとえば、13年6月期は、主要事業を「メディア事業」「EC事業」「店舗事業」の3つに分けていた。
そのうちメディア事業をさらに、3つに分類。化粧品メーカーや美容関連の事業者などにネット広告枠を販売する「ネット広告サービス」、有料会員向けサービスを提供する「プレミアム会員サービス」、それにサイトのデータベースなどを活用して、化粧品メーカーなどのクライアント企業に対して、データベースの分析や市場調査などのサービスを提供する「ソリューションサービス」という、3つのサービスである。EC事業は化粧品や健康食品などのネット販売、店舗事業は実店舗での販売である。
その後、M&A(企業の買収・合併)や海外子会社の設立で子会社が増え、関連会社も擁するようになると「マーケティング事業」「小売事業」「美容事業支援事業」の3つに大別。メディア事業はマーケット事業にほぼ移行し、EC事業と店舗事業は、小売事業と美容事業支援事業(エステサロン情報などを提供するサイト「ispot」などの運営)に区分けした。
17年6月期にはさらに、「Beauty Service事業(ビューティサービス)」「Global事業(グローバル)」「On Platform事業(プラットフォーム)」に組み替えている。
国内の化粧品ECサイトと実店舗、それに化粧品・美容関連のプライベートブランド品の開発販売を手がけるのがビューティサービス事業だ。17年5月に台湾に海外店舗を初出店したこともあり、中国での越境EC・卸売、マレーシアや米国でサイトの運営などを含めて、グローバル事業の新設に動いたのは明らかだ。
プラットフォーム事業の中心は、「アットコスメ」を活用した広告・ソリューションサービスの提供であり、食品クチコミサイト「もぐナビ」と料理教室サイト「クスパ」も新たに加わった。プレミアム会員や事業者から得る月額固定収入、サイトを経由して商品購入に結びついた場合に事業者から得る成果報酬もこの事業に含まれる。