出版から始まり、葬儀に紹介ビジネスで上場「鎌倉新書」
冠婚葬祭のなかでも葬祭関連のビジネスを展開しているのが、鎌倉新書(6184)である。
同社は1984年に、仏壇仏具業界向け書籍の出版社としてスタート。現在も月刊『仏事』やエンディングノートなど、紙媒体による事業も展開。ただし、メイン事業はウェブサービスの提供であり、ポータルサイトの運営に早くから着手してきた実績を持つ。
葬祭情報サイト「いい葬儀」は2000年、霊園・墓地情報サイト「いいお墓」と仏壇仏具情報サイト「いい仏壇」のスタートは2003年である。その後、遺品整理事業者検索サイトなども加えてきた。
上場は2015年。売上規模は10億円をようやく突破した程度と小粒だが、右肩上がりの推移は、ウェブサービスが支えてきたと言っていいだろう。
同社は、「役務収益」と「製品売上高」の合計を売上高としているが、役務収益がウェブサービスによる売上高だとすれば、全体の9割はウェブサービスによるものであり、その6割は霊園・墓地、3割弱が葬祭、1割が仏壇関連である。
役務収益の原価率はおよそ4割に対して、製品売上高の原価率は5割。ウェブサービスのほうが、原価率が低いのも明らかだ。
ただし、鎌倉新書のウェブサービスのビジネスモデルは、特別に目新しいものではない。展開しているサイトへの訪問者(閲覧者)を事業者に紹介し、成約に至った場合に事業者から手数料を受け取るというものだ。サイトへの広告掲載料も収入源とする。
成約率や単価がほぼ一定という前提に立てば、紹介数を増やすことがポイントになる。18年1月期の予想は、紹介件数が最も多い霊園・墓地関連の予想紹介件数は3万件(成約率13.5%、手数料単価9万280円)である。葬祭関連は8,000件(成約率45.5%、単価8万5,000円)、仏壇仏具は1万4,000件(成約率34%、手数料単価8万5,000円)だ。