クロックス・ジャパンの木村真紀さんに聞く
「勝てるチームの作りかた」
ECを支援するサービスが進化を続ける一方で、デジタルな環境で実績を出すための「チーム作り」への関心が高まっています。ソフトバンクでEC事業立ち上げやデジタル広告事業に携わり、業界内に多数の人脈を構築してきた松田忠浩さんは、現在では自身でも起業する形で独立し、また先日過去最高益を達成したゼロスタートにおいても経営企画の重要な一翼を担う形で、今後のいっそうの成長へと取り組んでいます。
そうした経験などを踏まえ、松田さんが業界のキーマンたちにインタビューし「勝てるチームの作りかた」を解き明かします。第2回は、クロックス・ジャパンのEコマース部門の責任者である木村真紀さんが登場。イベント「アドテック関西 2015」で出会い、一瞬で仲良くなったというふたり。「アニキ」「ネエさん」と呼び合う仲だそうです。
松田(ゼロスタート) この連載は、「勝てるチームの作りかた」がテーマです。木村さんは、クロックス・ジャパンの、Eコマース部門の責任者ということですが、どのようなチーム体制になっているのか教えてください。
木村(クロックス) 全員女性です。
松田 全員女性?
木村 私が入社したのが2011年で、その時には男性が2人いたんですが、独立したいといった理由で去っていってしまって。その後、採用を進めて今では8人になりますが、全員女性です。ちなみに、アムステルダムにいる私の上司も、女性です。
松田 すごっ。毎回、この連載で聞いていこうと思っているのですが、ずばり「良いチーム」ですか?
木村 うちは、世界的にも強いチームとして有名なんです。「ジャパンはどうしてそんなに強いの?」と聞かれるくらい。私も、強いと自負しております。
松田 強いというのは、すなわち?
木村 まとまっていて、イニシアチブがきちんとしている。1人ひとりの役割が明確で、そのゴールに向かっていける環境にあるということです。今のチームでもう、3年くらい走ってきていますしね。
松田 しかも、インハウス(注:広告代理店などに依頼せず社内で広告運用などを行うこと)ですよね。
木村 そう、外に出さないんですよ。だから、自分でできて、かつ、木村真紀の下が居心地が良いと言ってくれる人じゃないとダメなんです。
松田 8人の構成は?
木村 日本のEコマースの責任者として私がいて、配下のチームが3つに分かれています。ひとつが「オンサイトマーチャントチーム」。ECサイト上での企画や、どのタイミングでどの商品を打ち出していくかを考え、実施しています。ふたつめが「商品チーム」。どんな商品を、どんなふうに揃えて売っていくかを考えます。当然、オンサイトマーチャントチームとの連携があります。
最後に、「デジタルマーケティングチーム」。ものを並べて特集など企画を行っていても、人が来なければ意味がないので、crocs.co.jpにトラフィックをドリブンするのが仕事です。この形式は、ジャパンだけではなく、アメリカもヨーロッパも、ほかのアジアでも同じです。
松田 それぞれ2、3人ってことですよね。すごい、スペシャリスト揃いだ。この形式でジャパンが調子が良いから、ほかの国でも取り入れたということですか?
木村 もともとジャパンとアメリカがこの形式でやっていて、ヨーロッパもそうなり、ほかのアジアも採用しながらこの形式にしていっているという流れです。今のところ、クロックスのEコマースの正攻法は、このチームだねということになっています。
松田 素晴らしい。でも、6年前にネエさんが入社したときには、この形式じゃなかったわけでしょう。
木村 「オンサイトマーチャントチーム」しかなかった。だから、Eコマースの運営だけしかできなかったんです。
松田 それは、オペレーションということ?
木村 そう。それはたぶん、クロックスの歴史で、「商品を出せば売れる時代」を経験していたからだと思います。でも実は、私が着任した2011年には売上が右肩下がりになっていた。それを止めるべく入社したわけですが、「これじゃあ売れないよね」とは思った。なぜなら、オペレーションを回しているだけだったから。「この企画をやっていること、誰が知っているの?」「どうやって人を呼んでくるの?」という状態だったので、デジタルマーケティングチームが必要だと考え、人とマーケティング予算を取ってきたわけです。