ネットショップの決済、事業者の選びかた
今回は、モールへの出店でなく、自社でネットショップを持って運用する際の決済サービスの導入について説明します。
自社でネットショップを持つ場合、大手企業であれば構築事業者に依頼し、中小企業ならASPカート事業者のサービスを利用するのではないでしょうか。そうした事業者は、インターネットの決済処理を行う事業者(決済処理事業者)と連携しています。決済代行事業者と契約することで、さまざまな決済手段をまとめて導入できます。
国内の有名どころの決済事業者としては、以下があげられます。
- J-Payment
- GMOペイメントゲートウェイ
- GMOイプシロン
- スマートリンクネットワーク
- ゼウス
- ソフトバンク・ペイメント・サービス
- ベリトランス
- イーコンテクスト
- ペイジェント
- サイバーソース
決済処理事業者というと、「どの企業も同じようなサービスを提供している」というイメージがあるかもしれませんが、対応する決済手段、連携するショッピングカート、ネットショップと契約する際の手数料率、入金サイクル、多通貨決済対応など、提供されるサービスや仕組みは異なります。
決済処理事業者を選ぶ際に、チェックしたいポイントを5つあげます。
- 導入したい決済手段に対応しているかに加え、今後導入を想定している手段に対応可能かどうか
- 決済処理事業者が国内のカード会社と契約しているか(国内の業界ルールでは海外のカード会社と契約してのクロスボーダー取引は認められていない)
- 決済処理事業者が提供する決済手数料が、中長期的に見て自社の運営に見合った金額なのか
- 煩雑な処理の効率化のため、1つの管理ツールでさまざまな決済方法を管理できるか
- 対応する決済処理事業者がペイメントカードの国際セキュリティ基準である「PCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)」に対応している信頼できる事業者なのか
「直接」か「包括」か、加盟店契約をチェック!
加盟店と決済処理事業者との契約形態は、「直接加盟店契約」と「包括加盟店契約」の2種類に大別されます。直接加盟店契約は、それぞれの決済について、サービス提供者との契約をそれぞれの事業者と個別に行う仕組みで、売上代金の入金は各事業者から個別に行われます。
一方、包括加盟店契約はサービス提供者との契約を決済代行事業者が代行して行う契約形態となります。審査、加盟店契約、決済・入金処理までを一括して決済処理事業者側で行うため、ECサイト側の負担は少なく済みます。
例えば、国内で利用できるクレジットカードには、Visa、MasterCard、American Express、Discover、Diners等のブランドがありますが、包括加盟店契約が可能な決済処理事業者であれば、Visa、MasterCardのブランドをまとめて契約可能です。
一方、JCBの加盟店審査は、JCBのみの契約です。JCBは国際ブランドとして有名ですが、イシュイング(カード発行業務)、アクワイアリング(加盟店審査業務)もあわせて行っており、JCBと契約すれば、American Express、Diners、Discoverとの契約が可能です。
次ページからは、ECサイトで用いられる決済手段について説明していきます。