目的を定め、分析に最適なデータを決めるのが、機械学習の勘所
とはいえ、予測モデルが何でもできる魔法のツールというわけではない。多種多様なデータがある中で、求める答えに至るための分析対象の選定は、長年の経験やノウハウが必要だ。
林氏は「オファーセントリック」のケースにて、クーポンを送りすぎたことによって逆にROIが下がってしまった実例を提示。割引などのお知らせは最低限の顧客にとどめ、クーポンがなくても購入してくれそうな顧客には別のお知らせを送った、といった事例を挙げた。
また「カスタマーセントリック」を使ってアプローチできる最適な機能として商品レコメンドを挙げ、どのような商品が同時購入されているか、次回は何を購入しているのかといったアルゴリズムを構築し、活用することが可能だとしている。
「とあるクライアントでDM(ダイレクトメール)にレコメンド機能を活用したところ、ROIが3,000%上昇したという事例もありました。レコメンドの考え方を応用すれば、メール、Web、アプリといったさまざまなチャネルでの効果も期待できます」
外部データがノイズとなることも。プライベートDMPでの機械学習成功例
セッション終盤、「One to Oneマーケティングに必要な機能」として、話題はプライベートDMPに移行。MAとの組み合わせにおいて、アパレル通販事業者の実例を交えて紹介がなされた。
「プライベートDMPに蓄積されたデータから機械学習を用いて分析し、顧客ごとに最適な情報を訴求した事例を紹介します。Webサイト最上部にユーザ属性からのおすすめキャンペーン、中央と最下部は、それぞれ購入商品と閲覧情報からの自動レコメンドを表示したところ、CVRが110%改善し、PV数はおよそ1.5倍という結果となりました」
その他にも、顧客のセグメントを大きく3つに分け、あるセグメントにだけクーポンを送るといった施策で購入単価が126%改善された例や、「あと○○円で送料無料」というレコメンドに合わせてその顧客が購入しそうな商品を表示させ、平均購入点数で140%、平均購入単価で506%の改善が見られた例などが語られた。
林氏は最後に、「Webだけではなく、メール、アプリ、店舗などのチャネルに顧客の行動を組み合せれば、EC事業者が行える施策はまだまだ残っています。MAの良い点は、一度施策のパターンを作ってしまえば全自動で回ること。売上アップのためにも、十分に検討の価値はあると思います」と語り、セッションを締めくくった。
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