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ECホットトピックス

カゴ落ちについてのいち考察――定義、データの精度、改善による費用対効果

カゴ落ち率改善による売上向上は、集客数を増やさずできる

 カゴ落ち率の改善とは、自助的な作業であって、競合他社の動向などの外部要因に左右されるものではない。

 また、PDCAのサイクルを回す必要はあるが、改善を施す対象のページは数ページに限られる。改善についての考察自体は十分行う必要はあるが、「作業量」としてはごくわずかであり、この改善が前述の多大なコストをかけてカート内に到達させたユーザーのカゴ落ち率を左右するとなれば、カゴ落ち対策の費用対効果(投入労力対効果と言うべきか)は、ECサイト運営の他のタスクとは比較できないほどの大きなものではないだろうか。

 ちなみに、過去に筆者のクライアントに行ったコンサルティングの事例では、カゴ落ち率改善の施策だけで売上自体が4割以上向上した例もある。なお、カゴ落ちについて既存のカートが、どの程度までケアされているかによってその伸びしろが異なるので一概に言えないが、一般のレンタルカートを使用している自社ドメインサイトであれば、カゴ落ちの改善だけでも5 ~15%程度の売上(=CVR)向上は見込めるのではないだろうか。

 カゴ落ち率改善の施策での売上向上とは、集客数も増やさずにできることである。外部要因に左右されず自助作業で、である。ちなみにカゴ落ち率の改善とは確率論であるので、原則としてはであるが、売上100万円が110万円になるのも、100億円が110億円になるのも同じ10%の向上となる。

大規模なプレイヤーほどカゴ落ち率に敏感であるべき

 今のところECサイト運営者がレンタルカートを選択する場合、使いやすさや料金、あるいはSEOの効果などフロント関連の項目だけを判断材料にするケースがほとんどであり、サービスを提供している事業者もこれらをアピールする形となっているが、仮に「かご落ち」の面で他社とは段違いのクオリティを持つカート事業者があれば、EC運営者は利用料について多少の差を云々すべきではないのは前述のとおりである。

 仮に、カート事業者Aとカート事業者Bでカゴ落ち率に20%の差があった場合、100億円規模のプレイヤーであれば20億円の売上を左右することとなる。CVRの向上は集客増に直結することも再述したい。

 大規模なプレイヤーほどカゴ落ち率に敏感であるべきであり、一方でカート事業者はさらなるクオリティ向上に努め、プレイヤーには正当にその対価を求めるべきと考える。

 現在のEC業界においては、ショップ全体のCVRについては広く認識されているものの、LPOや購買導線などの概念などに代表されるフロント部分だけに意識が向けられていると言えるだろう。「カゴ落ち」という事象自体は広く認識されているが、これがECサイトの運営に与える影響については十分に考察されているとは言い難い。

 EC業界全体でカゴ落ちについて更なる考察が進み、ユーザーから見れば さらに買いやすくECサイト運営者からみれば より採算が向上し、結果としてEC業界全体の発展につながることを望みたい。

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この記事の著者

有限会社A-コマース 取締役社長 笹本 克(ササモト カツ)

ECコンサルタント&プランナー、(社)日本ECコンサルタント協会(JECCICA)参事・特別講師。コンサルタントおよびWEBプロデューサーとして全国各地で有名ネットショップを輩出。クライアントや講座受講生には、オンラインショッピング大賞の受賞ショップも複数存在。上場企業から中小企業、通販サイトはもとより、製造業やサービス業を含め、コンサルティングサイトの累計は約600社、多岐に渡る業種で大きな成果を出している...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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