PDCAが本当に回せるようになる“魔法のシート”の作りかた
直帰率や平均ページビューなど、ECにはさまざまな数値指標があります。もちろん、来訪者数や売上金額などについては毎日のようにチェックしているかと思いますが、これらの数値指標はあくまで「結果」です。今までやってきたことが反映されているだけに過ぎません。
ここから「次のTo Do」を読み取ることができてこそ、ただの「データ」が将来の売上と利益を創る「ヒント」に化けるわけですが、ほとんどのECサイトは「データ」を「ヒント」に変えることができていないのが実情かと思います。なぜだと思いますか?
PDCAのサイクルでやっていけばうまくいく。そのとおりです。でもPDCAのサイクルを経営に活かしていくには、「とっても重要な条件」があります。多くの場合、この条件が整っていないために、貴重なデータが活かせず宝の持ち腐れになっているのです。
その条件とは、PD(計画と実践/試験)とC(データ/検証結果)の因果関係が明確であることです。たとえば商品画像のA/Bテストをやってみて、画像Aのほうがよかったという結果が出たとします。
この場合、商品画像以外は「まったく変えていない」のであれば、画像Aの効果によってPVや購買率が上がったと言えるわけですが、アクセスログなどの指標は「さまざまな要素を集約した全体としての結果」が数値として表示されるだけなので、PDの「具体的内容」がわからないのです。
つまり「○○をした結果、△△が上がった/下がった」というPDCの図式を成立させるためには、「何をした結果」の数値変動であるのかをブレイクダウンして明確に把握しないかぎり、そこからは何もヒントを見い出せないということになります。PDCの図式が成立しなければ、A(次のアクション)が見えないのも当然かと思うのです。
これを解決するために、コンサルティングのクライアントや自治体などの長期講座の受講生に(特例を除いて)筆者が「ほぼ強要」(笑)していることがあります。筆者は「魔法のシート」と呼んでいるのですが、簡単に言えば業務日誌的な「やったこと」(PD)とアクセスログの数値や受注件数など(C)をカレンダー的に一覧表にまとめたものです。
魔法のシート1
魔法のシート2
実際に魔法のシートを運用するにあたっては、毎日欠かさずにデータを記入しておくのはなかなか大変なので、「数値指標は後からでも拾えるから、“やったこと”だけでも書いておいて」と言っています。データは時間を遡って探すこともできますが、“やったこと”は、記憶の彼方に消えていってしまう……。
筆者:○月の第3週からCVRが向上しているけど(←C)、これはなぜ?(←PDの把握)
クライアント:え~っと……、わかりません
これでは何もわかりませんよね(笑)。もしも「○○をした結果、△△が向上した」ということが明確に把握できれば、それだけで大きなヒントになります。