サブキーワードを入れて2語にしただけ、で思考停止していませんか?
SEM(検索サイトからの集客)の用語のひとつに「コンバージョンキーワード」というものがあります。ごくわかりやすく説明すれば、ex.「リンゴを買いたい人」はリンゴという単語だけで検索するだろうか?という観点から、ユーザーが検索するキーワードを考察して行ったものがコンバージョンキーワード(以下CVKW)です。
リンゴというキーワードの検索結果にリンゴの歴史や日本で栽培されている品種一覧などのページが多数出てきたとしても、その検索結果はリンゴを買いたい人の目的に合致していないので「リンゴ+◯◯」たとえば「リンゴ+通販」の様にさらに絞り込むためのキーワードを追加して検索することとなるでしょう。
この「絞り込み(サブ)キーワード」がCVKWと呼ばれるものです。リンゴという非常に大まかな検索キーワードで検索するユーザーに比べて、検索ユーザーの「目的や用途あるはジャンル」などのニーズやデマンドが「より具体的に」なっているということが重要視されているわけですが、最近では検索キーワード広告(リスティング広告)の制作サポートツールを見ればサブキーワードの一覧が見られるのでほとんどECの話題には上らなくなりました。
だからこそ筆者は「オイシイところ」だと思っているのですが(笑)
14~15年前ぐらい前、まだSEOやSEMという言葉が定着しておらず上位対策や検索対策と言っていた頃の話です。SEOのO、オプティマイゼイション=最適化とスパム的な検索エンジン攻略の区別がつかない業者が乱立していてYahoo!のロボット検索がgooからGoogleに変わった頃だったと記憶していますが、当時筆者も上位対策をコンサルティングメニューのひとつにしていました。しかしながら、ビッグキーワード(メインの1語)で検索結果1位になっても売上はほとんど向上しませんでした。それで気がついたのがCVKWの概念です。
当時は言葉がなかったので「売るためのキーワード」と称していたのですが、その効果は絶大でした。ex.“歯医者“で検索1位をとって欲しいというクライアントに対してCVKWの「概念」を説明し「HPから予約が入るようにします」と言ってHPにサブキーワードを中心にSEOを行いました。ビッグキーワードは当時でも激戦区でしたが、サブキーワードについては他社はほとんどノーマークだったので楽勝でした。例えば”歯医者”であればHP上に「◯◯市」と「歯科」というキーワードをある程度付け足すだけで効果が出たのです。
歯医者に行こうとしているすべての検索ユーザーは、自分の“生活圏内の”歯医者を探しているという「目的」に気づいて初めて「◯◯市」というサブキーワードに気づくことができるわけですが、結局のところ「お客様の気持ちになって考えてみる」という商いの根本に気づくことにつながると思っています。
お客様の気持ちに沿ったCVKWという「概念の効果」は絶大だったのでクライアントがクライアントを連れてくる……調子に乗って雑誌に書きまくったり本を出したり講演などで話しまくった結果、あっと言う間に広まってしまい、すぐに楽勝の仕事ではなくなってしまいました。あと2年ぐらい黙っていたらビルのひとつでも建っていたかと思いますが(笑)。
さて、現在では検索キーワード広告の制作サポートツールを見ればサブキーワードの一覧が出てくるわけですが、ほとんどのECサイト運営者がサポートツールの提案のまま「メインキーワード+サブキーワード」の2語でSEMを行っているのではないでしょうか。リスティング広告を出していない場合でも、サイト上でカバーしているサブキーワードは検索広告制作のサポートツールの提案の範囲に留まっていることがほとんどです。少し厳しい言いかたをすれば、サポートツールで容易に2語目のサブキーワード一覧が手に入れられるので、ここで思考停止しまっているような感があります。
果たしてそれで良いのでしょうか。