制約に気づき、取り除ければ先行者利益が待っている
増渕(日本マイクロソフト) おふたりのソリューションの 話をうかがっていて、「既存の枠にははまらない、新しいEC」が見えてきた気がします。とはいえ、今後さらに広めていくためには、パートナーが不可欠ですよね。
橋本(Commerble) システムを作る企業とは既にお話していて、実現を画策しています。事例をベースに始めるほうが多い印象です。
阿部(セカンドガレージ) 「Fast for EC」では、現状、ロックオン社の広告の効果測定ツール「アドエビス」やラクス社のメール配信ツール「クルメル」と連携が完了しています。今後も、その他のさまざまなサービスとも連携していきます。
増渕(日本マイクロソフト) RFM分析などが手軽にできるんですもんね。顧客をクラスタリングしてメール配信しない手はない。
阿部(セカンドガレージ) それもありますし、そのためだけにECプラットフォームを乗り換えなくても済むようになります。やりたい施策が増えるとASPカートからパッケージに乗り換えるといった選択がこれまででしたが、それだとコストもかかりますし、橋本さんがおっしゃったように、都度乗り捨てではノウハウが貯まりませんから。
増渕(日本マイクロソフト) 「Commerble EC PaaS」や「Fast for EC」により、一時的に解決できる課題もあると思います。その一方で、事業者さん自体の、インターネットリテラシーやデータ分析力なども、同時に上げていかないと根本的な解決には至らないでしょう。
たとえば、世の中のExcelユーザーの大半は、Excel2000くらいの機能しか使っていません。Power BI を立ち上げれば、5,000万件のリストを入れることも可能なのに、そういうことを知らずに、高価な分析ツールを導入したりしてしまったりする。そういったリテラシーの不足で、国内外のツールベンダーの言いなりにならないようにしていただきたいです。
阿部(セカンドガレージ) データ分析は将来的に、マシンラーニングやAIに発展していくことになると思います。同じクラウドでも、Microsoft Azureのように基盤が整ったところにデータを持っておくと、可能性が広がりますよね。
橋本(Commerble) 「Fast for EC」にAIが入って、「あなたの場合は、こういうふうにデータを見たらどうですか?」というナビゲーションが入ったら、すごく良さそうですね。
増渕(日本マイクロソフト) AIの活用はBtoBのツールでも進んでいくでしょうね。「Fast for EC」によって、分析と施策がどんどん進んでいくと、もっとやりたいことが増えていくはずです。たとえば、Power BIで自分の仮説が正しいかを検証したり、離脱しそうなお客様をマシンラーニングで見つけようという発想も出てくるでしょう。
阿部(セカンドガレージ) ECで持っているデータを、実店舗にも活用するという発展の仕方もあると思います。実店舗は、商品を並べ替えるだけでも売上が変わってくるのに、ECよりもさらにデータがとれていませんから。ECと実店舗のオムニチャネル施策などと考える前に、まずは、データを使って売上を向上できないかを考えることから始めたら良いと思っています。
橋本(Commerble) マシンラーニングの例にもありましたが、テクノロジーが進んだことで、売りかたの限界はなくなってきていると思います。「本当はもっとこうやりたかったのに、予算がなくてできなかった」は通用しなくなる。ですから、事業者さんの「こう売りたい」「こうしたい」という声をもっと聞きたいです。「Commerble EC PaaS」は、それを実現するためのプラットフォームですから。
ECは、その市場規模から見ても、昨今のインバウンドのニーズを見ても、国益に大きく影響するものですよね。その重要な市場において、テクノロジーで売りかたが制限されてしまうという課題を、ひとつでも多く解決できればと考えています。
増渕(日本マイクロソフト) まず、橋本さんがおっしゃったとおり、ECのテクノロジーに関しては、「できることが増えた」が加速度的に進んでいます。一方で、「ECサイト制作」に関しては、随分前に業界のルールのようなものが決まり、これまでそれに倣ってきたので、「できることはここまで」という既存の枠組みの中で行われてきました。
そこに「Commerble EC PaaS」や「Fast for EC」が登場したので、まずはそれらを使うことによって「ECではこういう売りかたしかできない」という思い込みをアンロックして、自由な発想でやっていきましょうと言いたいですね。イベント会場に実際に来た人だけに、こんなふうに売りましょう。日本に観光に来た人に、海外から使えるクーポンを発行しましょう。こういった柔軟な売りかたは十分に実現可能です。
それを実現する基盤として、Microsoft Azureが大きな一角をとりたいと考えています。実現のために何を提供するかと言うと、フルオープンに使える、データと処理を分けるクラウドを目指していて、便利なものはAPIベースでどんどん提供しますし、TableauやAdobe Analyticsのような外部のツールともつないでいきます。Microsoftのものでないから処理できないという制限をアンロックする。そういうオープンなクラウドになっていくことで、既存のモデルを駆逐していきたいと思いますし、そういう世界をなるべく加速させたいと思っています。
EC事業者さん、小売事業者さん、よくわからないシステムの制約にがんじがらめになっていませんか?と問いかけたい。今、それを見直す時期に来ていますし、早く見つけて制約を取り除けた事業者さんには、新しい売りかたで市場を開拓するという、先行者利益が待っているはずですから(了)。
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