UNCOVER TRUTH×マイクロソフトが語るECの未来
UNCOVER TRUTHは、社名に「真実を暴く」の意味を込めて2013年に創業。提供するヒートマップUX解析ツール「USERDIVE(ユーザーダイブ)」で、ウェブサイトやスマートフォン向けのネイティブアプリでの課題を見つけ出し、改善することで、企業のビジネスに貢献し、ユーザーの価値体験を向上させるというミッションを掲げている。
導入企業は、2015年8月時点で200社を超え、富士フイルム、ガリバーインターナショナル、エキサイト、ニフティ、スカパーJSATなど、そうそうたる顔ぶれが並ぶ。ツールだけでなく、コンサルティングサービスも提供することで、分析だけで終わらず、目に見える改善に結び付けている。
UNCOVER TRUTHは、「Microsoft BizSpark」というマイクロソフトの起業支援プログラムに参加している。さらに「マイクロソフト・ジャパン・パートナー・オブ・ザ・イヤー2015」において、優れたサービスを提供したクラウドサービスベンダーを評価する「Cloud Platformコンピテンシーアワード(Cloud Service Vendor)」部門で最も優秀な企業に選ばれた。
数あるヒートマップUX解析ツールの中で、ひときわ存在感を放つ「USERDIVE」。それをインフラで支援する形で、ともにECサイトのさらなる改善を目指すマイクロソフト。両社が見ている、ECの未来とは。UNCOVER TRUTHのCOO小畑陽一さんと、日本マイクロソフトの技術エバンジェリスト増渕大輔さんに対談してもらった。
⚫︎Microsoft BizSpark
開発に必要なツールやクラウド環境、技術サポートを3年間無償で提供するプログラム。「Visual Studio Ultimate with MSDN」や「Microsoft Azure」が含まれており、起業に必要なIT環境を無償で構築できる。
物販のみを目的としないサイトは、ストーリー視点での改善を
増渕(日本マイクロソフト) 「USERDIVE」の導入企業が200社を超えたということですが、EC事業者さんのおもしろい事例はありますか?
小畑(UNCOVER TRUTH) 富士フイルム様の「フォトブック」のサイトは、単純な物販ではないECという視点で、おもしろいと思います。1年間撮りだめた写真を、富士フイルム様のクラウド上にアップすると、紙の写真集が作れるというサービスです。写真集の装丁や印刷クオリティ、ページ数、サイズによって価格が変わってきます。
特徴的なのは、商材自体がエモーショナルであること。デジタル写真を紙のアルバムにするということで、メインターゲットはお子さんをお持ちのご家族になります。ご両親が思い出を形に残したり、祖父母の方への贈り物にされたり。1歳のタイミングで写真集を作り、ご満足いただけると、かなり高い確率で、2歳、3歳とリピートしていただけるのも特徴です。
増渕 たしかに、エモーショナルな商材ですね。ウェブサイトで訴求する際にも、ストーリーテリングのような手法が必要になってくるのではないでしょうか。
小畑 そうなんです。僕らはそれを、ユーザーエクスペリエンス(UX)と呼んでいますが。単純に、アルバムが並んでいて、写真集のスペックが並んでいるだけでは、ただの印刷サイトですよね。たとえば、印刷クオリティには2種類、「写真仕上げ」と「印刷仕上げ」があるのですが、たしかに「写真仕上げ」は、銀塩写真というフィルムカメラの技術を使っていて、仕上がりのクオリティは高いんです。けれど「銀塩写真です」と訴求しても、お子さんをお持ちのお母さんには響かないでしょう。
それを実際に、ヒートマップで分析してみると、スペックを語っている箇所は全然読まれていないということがわかりました。そういったデータをもとに、ユーザーのインサイトをつかみ、具体的な改善手法をご提案するのが、僕らの仕事です。
具体的には「思い出をどう残すか」にフォーカスして、「こういうアルバムが手に届いたらいいな」とイメージ喚起できるようなクリエイティブの写真に変えて、といったところまでコンサルさせていただき、お客様が想定されていた目標に対して何倍もの成果を達成することができました。
増渕 僕が「USERDIVE」をはじめて見たのは、「アドテック東京2013」だったと思います。実際に使ってみるとおもしろいし、ツールとしてはすでに完成している印象でした。その後、経営方針を変えられて、コンサルティングサービスをセットで提供されるようになってから大きく伸びたということですが、富士フイルムさんの事例をお伺いしても、ツールで機能を提供するだけでは不十分で、インサイトをつかむきっかけまでサポートする必要がありますよね。
ツールはフレームワークににていて、マニュアルを読んで使ってみるだけでは、それほど大きな変化は産まない。すでにあるプラットフォームに乗せるECであれば、それでもワークすると思うのですが、先ほどのフォトブックのようにストーリーテリングが必要な商材だったり、企業さんがブランドを意識されて、ECのコンバージョンを上げるだけを目的としていないサイトでは、キャンペーンやイベントも続々と行われるでしょう。そういったサイトを改善する場合には、人工知能等が発達してきている世の中ではあるものの、やはり人間の知恵が必要で、コンサルティングとツールの両面あったほうがいいだろうなと思います。
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