ファッションECの新しい活路になるか 人工知能とO2O接客
ファッションECの業界は、今年に入っても、引き続き面白いと常に思って活動をしています。さまざまな企業やブランドのお手伝いや提案などをする関係で、新しいサービスや取り組みは随時探していますが、今回は、AI(人工知能)とO2Oの新しいサービスを紹介しつつ、私が最近感じていることを書きたいと思います。
ファッション業界には「トレンド」があり、他の業界に比べて商品の変化が速いのが特徴です。そうした商品を、以前は、紙媒体を中心としたプロモーションで、百貨店やファッションビルを主要チャネルとして販売していました。
そこにインターネットが登場。ZOZOTOWNなどファッションECモールが台頭し、それぞれのブランドの自社ECは、対策に遅れを取ったのではないかと思います。
そして、良い商品を作って、ファッション雑誌にタイアップを展開すれば売れる、という方程式はここ数年で完全に変わりました。今は、インターネットマーケティングを常に考え、自社ECとファッションECモール、そしてリアル店舗をどう活用していくのかを考えなくてはなりません。
一方でファッションは着るもの、身に付けるものなので、店舗のありかたは今後変わる可能性がありますが、「試着」したいというユーザー欲求はなくなることはないでしょう。
そんな中、買うユーザーの趣味嗜好もさまざまで、さらに体型という要素も絡みあうファッションECは、今後新しいテクノロジーで改善、便利になっていくと考えています。今回紹介する新しいテクノロジーは、以下2つです。
人工知能が「センス」を学んでレコメンド「SENSY(http://sensy.jp/)」
「手のひらに、スタイリストを。」というキャッチコピーで展開している「SENSY(センシー)」は面白いサービスです。OS、Androidのアプリとして提供されています。
これまでさまざまなレコメンドサービスが出てきましたが、すでに購入した商品に対するコーディネートの提案だったり、あるアイテムへのアクセス数をもとにしたオススメだったり、いずれもECサイトのデータをもとにしたものでした。
しかしながら、ファッションに関するレコメンドは、データを分析すればユーザーに刺さるかと言うと、必ずしもそうではありません。趣味嗜好は個人によって異なり、「こういう色が好み」や「こういうシルエットが好き」といったニュアンスは購買データ、アクセスデータから導き出せているとは限らないのではないでしょうか。
「SENSY」が既存サービスとどう異なるかと言うと、ユーザーの趣味嗜好を人工知能が学習した結果、そのユーザー好みのアイテムをセレクトしてくれるというものです。人工知能というと難しそうですが、ユーザー側に難しいことはなく、見せられたアイテムを「好き」「嫌い」と選んでいけば、あとは勝手に機械学習してくれます。
まだ始まったばかりのサービスですが、すでに2,500以上のブランドと連携しています。数字や論理では説明しづらい「センス」が左右するファッションと、人工知能という切り口は相性が良さそうです。さらに、価格よりはセンスで訴求するからこそ、自社ECへの誘導が期待できると考えます。
商品詳細ページに、自分の趣味にあった商品がオススメされる日も近いかも知れません。