リアルショッピングも進化したのに、ショッピングカートは…
読者のみなさんは、コンビニやスーパーで買い物をした時に、名前や住所を尋ねられたことがありますか?
私は、かつて今まで、リアルの買い物をした時に名前を聞かれたことはありません。もちろん予約や出前を頼んだ時には名乗りますが、何度か利用したことがあるタクシーや宅配ピザなどは、自宅の電話から頼めば、「○○2丁目の笹本様でよろしいでしょうか?」と聞いてくるので詳しい住所まで言う必要がないのです。
たぶん、こちらから架けた電話の番号がお店の電話機に自動的に表示され、(NTTナンバーディスプレイサービス)自動的に過去の履歴を呼び出し、我が家の住所が自動的に表示されるというような仕組みかと思います。
また、コンビニなどでは、クレジットカードはもちろんスイカなどに代表されるプリペイドカードやさまざまな電子マネーなどでも簡単に決済できるようになっています。気がつけば受注→決済の手続きは、リアルの世界でも相当な進化を遂げています。
ネット通販が世間一般に広まりだしてから、およそ15~16年経っています。この期間にモールというプラットフォームや受注管理ソフト、CMSやCRM関連、あるいはさまざま分析なツールなど、大変な進化を遂げています。
でも、ショッピングカートだけは「小手先」レベルの“改善”に留まっているような気がします。私が思うに、ショッピングカートについては、「進化」と呼べるまでの変化はなく、少し厳しく言えば旧態依然のままだと思うのですが、読者のみなさんのご感想はいかがでしょうか。
リアルショッピングも進化したのに、ショッピングカートは?
ネットショップにおける最も重要な指標=コンバージョンレート(=購買率=CVR=来訪者数当たりの受注件数)。これについては、意見を挟む余地がないかと思います。
コンバージョンレートが向上すれば、一定来客数(=サイトへの訪問者数=ユニークユーザー数)当たりの売上&粗利額が向上するということでもあります。つまり、集客コストについて【採算分岐点】が向上するのです。結果として、検索広告などのクリック単価が高くなっても採算がとれるということになります。
簡単に言えば、今まで買えなかった広告も買えるようになる。つまり、コンバージョンレートの向上は「集客力の向上」にもつながるのです。だから、笹本がコンサルティングをする時には、まずはさまざまなサイトの改善や訴求力の向上を行い、「今まで買えなかった広告」が買えるレベル=採算が取れるレベルまでコンバージョンレートを向上させて、その後で一気に「集客増」のアクションを取るという手法を使っています。
たとえば、1,000人の来訪者が来たとき、5件の注文が来る状態(CVR0.5%)で集客するのと、20件の注文が来る状態(CVR2.0%)にしてから集客するのとでは、広告の費用対効果は「4倍の差」があるのです。
仮に、受注1件当たりの平均粗利額が5,000円だとした場合、前者は総額で2万5,000円の粗利、後者は10万円の粗利。仮に1,000人の集客に5万円かかるとすれば、前者は赤字。つまり、広告は使えない。後者は黒字、広告を使える=「さらなる集客が可能」という図式です。
そして、ショップや商品あるいはサービスの認知が世間に広まり、「ブランティング」と呼べる域に達すればコンバージョンレートはさらに向上するでしょう。
この「好循環」を産み出す根源となるコンバージョンレートの向上とは、ショップのさらなる改善であり、競合他社の動向や外部環境に左右されない「自助努力」で達成できることをお忘れなく。
さて、ショッピングカートです。