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TikTok ShopがEC市場にもたらす可能性

TikTok Shopが国内に浸透するとどうなる?【EC担当が知っておくべき4つの戦略も解説】

TikTok Shop活用のカギは「コマーサー」

 TTSを新たな集客チャネルとして活用するブランドや、TTS発のブランドが台頭してくる中で、クリエイターに求められるスキルもまた変化しています。

 日本のTikTokクリエイターのエコシステムは、現時点ではエンタメ寄りの傾向が強く、多くのクリエイターが動画編集スキルに特化し、「見られるコンテンツ」を作ることに注力しています。しかし、TTSの普及に伴い、クリエイターに求められるスキルセットが変化しつつあります。

 それが「商品を売る力」です。たとえば、中国やアメリカでは「コマーサー」と呼ばれる、商品販売に特化した新たな職種が登場しています。日本でも「見られるコンテンツ」だけでなく、「売れるコンテンツ」を作ることができるクリエイターへのニーズが高まり、新たなコマーサーの誕生が進むでしょう。具体的には、通販番組の実演販売士のように「コンテンツ上で語って売る」スキルを持つクリエイターが増えると予想されます。

 既に、一部のMCN(※1)は、クリエイターのライブコマース対応やショート動画経由での物販スキルの強化に取り組んでおり、「売れるクリエイター」の育成が始まっています。この流れにより、クリエイターのエコシステムはエンタメにコマースが加わり、ソーシャルコマース市場の拡大を後押しするでしょう。

※1:「マルチチャンネルネットワーク(Multi-Channel Network)」の略で、動画配信プラットフォームで活躍するクリエイターを支援・マネジメントする組織

 企業も自社のブランド・商品と相性の良いクリエイター・コマ―サーの発掘が、TikTok Shopでの売上を最大化する上で求められます。また、自社でクリエイター・コマ―サーを発掘・育成する可能性も十分にあります。たとえば、自社社員がライブ配信に出演して商品を販売するといった取り組みが、日本でも広がる可能性があります。このような「企業のクリエイター化・コマーサー化」により、人・モノ・資金がさらにソーシャルコマース領域に集中し、市場が活性化していくでしょう。

海外動向と日本市場の仮説

 TTSの登場による、こうした市場とクリエイターの変化は、海外の先行事例からも見て取れます。ここでは、海外のTTSの動向と、日本市場における今後の展開について考察します。

 第1回でも触れたように、TTSのトレンドは国や地域によって大きく異なります。たとえば、アメリカでは、TTSの売上の50%がショート動画経由です。一方、ライブコマース文化が浸透している中国では、TTSの売上の約70%がライブ配信経由となっています。東南アジアを見ると、タイではライブ配信、ベトナムではショート動画が占める割合が大きいなど、国によって様々な違いが見られます(セプテーニ調べ)。

 では日本ではどのような傾向になっていくのでしょうか? 日本のライブコマースの市場規模がまだ小さいこと、販売経験を持つクリエイターが少ないこと、そしてライブコマース対応スキルの育成には一定の時間がかかることなどを考慮すると、まずはアメリカのようにショート動画起点の集客が中心になると予想されます。

 もちろん日本でも今後、ライブ配信の重要性が高まる可能性は十分にあり、実際に、一部の参入が早いクリエイターや中国や東南アジアで成功体験を持つ企業がライブ配信経由で売れ行きを伸ばしている商品もあります。しかし、現在のTTSローンチ初期のタイミングでは、立ち上がりが早いショート動画が先に普及すると考えられるため、長期的な成功にはまず、ショート動画の効果的な活用が不可欠になるでしょう。

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TikTok Shop活用のスタートダッシュを切る4つの戦略とは?

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この記事の著者

株式会社セプテーニ 仙波 学(センバ マナブ)

2017年、Septeni Japan株式会社に入社し、App領域の運用コンサルタントとして従事。2019年より、XやTikTokなどソーシャル領域のメディア担当として、媒体社やプラットフォーマーとの折衝、最適な媒体活用のための施策立案や実行に携わる。また、媒体を横断したソリューションやメディアにお...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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