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【売上・CVR改善事例あり】国内外のCX改善を支えてきた専門家に聞く、EC担当者が取り組むべきこと

 EC事業を成長させるためには、顧客体験(CX)の向上が不可欠です。しかし、顧客の行動は多様化しており、視覚化するのも一苦労です。では、EC担当者はどのように顧客の行動を可視化し、CXを改善すればよいのでしょうか。本記事では、国内外のCX改善に努めてきたContentsquareのCEOであるジョナサン・チェルキ氏、CROのガブリエル・ベナビデス氏、日本法人代表の伊奈憲一郎氏へのインタビューを通じて、EC担当者に役立つCX改善のヒントをお届けします。

「見えない体験」を見える化する Contentsquareの挑戦

――最初に、Contentsquareを立ち上げた背景とミッションについてお聞かせください。

チェルキ Contentsquareは13年前にフランスで創業しました。現在では世界中に15のオフィスを展開し、1,700名の従業員を抱えています。そのうち600名が研究開発に従事しており、これまでに1,500億円の資金調達を行っています。中でも日本は、当社の将来の成長にとって戦略的な市場と位置付けています。

 事業を開始した当初、市場ではオンラインビジネスを成功させるには新規顧客の獲得が重要だと考えられていました。しかし、顧客獲得コストは上昇し続け、トラフィックがモバイルに移行する中で、オンラインビジネスにおけるコンバージョン率の低下が進みました。

 この状況を打開するため、私たちは顧客体験(CX)の向上を戦略的な取り組みと位置付け、Contentsquareを世界で最も優れたアナリティクスソリューションを提供する企業にすることを目指しました。その後、約3,000社の大企業と取引実績を作り、130万以上のWebサイトでContentsquareが活用されています。

Contentsquare CEO ジョナサン・チェルキ氏
Contentsquare CEO ジョナサン・チェルキ氏

――日本市場にはいつ頃進出されたのでしょうか?

チェルキ Contentsquareはパリでの創業後、英国、ドイツ、米国へと事業を拡大し、その後に日本に進出しました。当初はパートナー企業を通じた販売を行っていましたが、日本国内での需要増加に伴い、直接事業を展開することにしました。

 日本の市場はデジタル化が進み、ますます成熟しています。先日開催したCX最適化をテーマにしたイベント「CX Circle 2025 Tokyo」には500名以上の方にご参加いただき、日本企業のCXへの関心の高さを実感しています。

日本と海外で異なるCXの課題

――国内外企業のCXをアナリティクスの力で改善してきた御社ですが、日本と海外におけるCXに対する課題意識の高さや違いをうかがえますか。

伊奈 日本市場における最大の課題は、CXがまだ経営課題として十分に認識されていないことです。Contentsquareでは、顧客体験の改善が経営指標であるKGI・KPIの改善につながることを、数多くの企業で見てきました。しかし、国内ではCXが与えるブランドや事業の売上への影響が見えていないことで、経営課題になっていないと感じております。

Contentsquare 日本法人代表 伊奈 憲一郎氏
Contentsquare 日本法人代表 伊奈 憲一郎氏

ベナビデス グローバルでは、経営層が顧客体験とビジネスの関連性を深く理解するようになってきています。多くの企業が売上の大半をデジタルチャネルに依存するようになり、デジタルチャネルにおける顧客体験をスムーズにすることが売上増加につながるという認識が広がっています。また、新規顧客獲得にかかるコストが高いことを理解しており、既存顧客のロイヤリティを高めることが事業拡大につながると考えています。

――具体的な成功事例はありますか?

ベナビデス 北米のある保険会社では、Contentsquareのプラットフォームを活用することで、多くの顧客がパスワード再設定の段階でつまずいていることが判明しました。そこで、そのつまづきを取り除く改修を施したところ、サポートセンターへの電話が月間33,000件から2,000件にまで減少しました。結果として、この会社は年間25万ドルの経費削減を実現しています。

Contentsquare CRO ガブリエル・ベナビデス氏
Contentsquare CRO ガブリエル・ベナビデス氏

――Contentsquareのユーザー企業は、CXにおける課題をどのように見つけるのでしょうか?

チェルキ  課題を発見するための強力な機能の1つに「セッションリプレイ」があります。顧客がどこかの段階で離脱した場合、そのセッションを動画で振り返ることで、どこに問題が生じたのかを具体的に確認できます。

 また、ユーザーの行動やエラーの発生、ページの読み込み時間、カスタマージャーニーにおける離脱ポイント、コンテンツや品揃えのパフォーマンスなどを1つのプラットフォーム上で分析し、問題点(フリクション)を特定・測定し、取り除くことで最高の顧客体験を実現できます。

――顧客体験の改善は、企業内のどの部署が担当するべきなのでしょうか?

チェルキ 通常、CXの改善はチーフマーケティングオフィサー(CMO)、プロダクトオフィサー(CPO)、IT担当者などが担うことが多いでしょう。しかし、顧客体験は組織全体の問題だと考えています。

 グローバルで起きていることですが、デジタルはますます複雑化しており、チーフデジタルオフィサー(CDO)やUXデザイン担当者がCXに関わるケースが増えています。

 しかし、これにより多くのチームが顧客インサイトプラットフォームを使い、同じ、あるいは関連する問題を解決しようとしてしまい、意思決定の遅延や停止につながることがあります。Contentsquareであってもなくても、できるだけプラットフォームは複数部署で統一していくことが求められています。

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【CVR135%、売上169%の事例も】CX改善に向けて今できること

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ECzine編集部(イーシージンヘンシュウブ)

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