AIに好みをすべて理解してほしい レコメンドで効く“出し方”とは
──実店舗とECサイトを使い分けていますが、これまでに不便に感じた経験はありますか。
門井さん 僕の場合は、複数のブランドが集合したECサイトは、すぐに離脱してしまいます。一つのアプリで各ブランドの商品詳細ページに飛ぶものだと、少し使いづらいんです。進んで、戻って、進んで……。「あれ、今どのブランドのどのページにいるんだろう」と思います。ブランドが集まっている分、階層が深くなりすぎて検索しにくくなるのであれば、うまく分けてほしいのが本音です。
──商品を見つけやすくするために、多くのECサイトではレコメンドやパーソナライズの機能がありますよね。
門井さん 検索に集中していたら、レコメンドはあまり見ていないかもしれません。また、ネットサーフィン感覚で商品を探しているときも、レコメンドが出てきたらむしろノイズになりそうです。行きたいお店や探したいものがあるのに、すごく客引きされているみたいな感覚になります。
松村さん 私の場合、検索キーワードを増やして絞るので、あまり的外れなレコメンドがされることはないです。たとえばAmazonでは、買うものを決めて探しているとき、口コミを見にいく途中でレコメンドや一緒に購入されている商品が表示されます。「同じようなスペックの商品でこんなものがあるのか」と参考になりますし、下部にまとまっているのでうっとうしくありません。一方で、同じレコメンドでも、サイトトップや商品詳細ページの上部に出てくると使いづらく感じます。
──AIでレコメンドやお気に入りが過剰にパーソナライズ化されると、不快に感じるという意見もあります。実際にはどうですか。
門井さん 「情報を学習しても良いですか？」と事前に聞かれるから、なんとなく嫌なのかもしれません。でも、レコメンドやパーソナライズの機能が便利なのは事実です。今のところ、気持ち悪いと思ったことはありませんね。
松村さん むしろAIに私のことを知ってほしいんですよね。普段からChatGPTに話しかけて「私が好きなことや嫌いなこと、私自身のことを頑張って覚えて」と訴えています（笑）。それだけ身近な存在になっているんだと思います。こうした環境の変化もあり、ECサイトの裏側でAIが働いていても気にはならないです。AIが提供する分析結果に対しても、抵抗はまったくありません。
