ライブコマースの課題となるのは、人とノウハウ
最初のセッションには、関西最大級のサッカー・フットサル専門店Kemari87KISHISPO、adidas Originalsショップ、Onショップを運営する岸和田スポーツの竹村瞬氏が登壇した。岸和田スポーツは、OMO戦略の一環としてライブコマースを導入し、顧客満足度の向上と競合との差別化を目指した。
同社では元々Instagram、X、Facebook、TikTokといったプラットフォームでのコンテンツ発信を強化していた。そして、さらなるプラットフォーム活用を推進すべく目を付けたのがライブコマースだった。
当時ライブコマースに取り組む事業者が少なかったため、先駆者となるチャンスと捉えていたという。
しかし、2022年10月にFireworkを導入した当初は、サッカーの国際大会における日本代表の活躍などによる注文増で人的リソースが不足。また、長尺動画の制作や演者の選定、コンテンツ内容など運営面での知見も足りない点が課題になっていた。
それでも同社は他社の取り組みを研究したり、Fireworkのサポートを得たりすることで、少しずつライブコマースの取り組みを推進してきた。
演者の固定で知見を蓄積、認知施策も取り入れ成果を拡大
続いて竹村氏は、ライブコマース実施において工夫した点を3つ紹介。1つ目は演者を固定したこと。これにより、同じ環境で複数回のライブコマースが実施でき、運用ノウハウの蓄積につなげた。また、スタッフには最低限のルールのみ設け、台本を決めずに自由に配信させた。もちろんアクシデントも発生するが、そのライブ感を重視した運用を試みたという。
2つ目は、スタッフへの教育だ。各回で演者が改善基盤を構築し、マニュアルを作成。また、Fireworkによる演者向け講習も受けたという。そして、マニュアルを各店舗に展開したことで、様々な店舗がライブコマースに取り組める環境を整備した。
そして3つ目に挙げたのは認知拡大の施策。WebやSNS、メルマガなどあらゆる接点でライブコマースに関して告知を実施。時には、取引先であるブランドの担当者やスポーツ選手などのゲストを呼び、配信への集客を強化した。視聴人数を毎回リアルタイム、アーカイブともにチェックしながら、認知施策もチューニングしていった。

OMO戦略の一環で実施したライブコマースは、実店舗にも好影響を及ぼした。普段の配信を通じて顧客から直接声をかけられるようになり、顧客とのエンゲージメントが深まったという。今後について竹村氏は、「自社の強みとライブコマースを掛け合わせ、独自性を追求していきたい」とし、セッションを締めくくった。
