ロート製薬とマツキヨココカラのライブコマース
2つの事例セッションの後、ロート製薬の萩森令子氏とMCCマネジメントの笹木朋美氏、Firework Japanの中西千尋氏によるパネルディスカッションが行われた。最初に中西氏は、両社がFireworkを導入し、動画活用に力を入れ始めた背景から聞いた。
マツキヨココカラはOMO戦略の一環としてライブコマースに注力。「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく」というグループ理念に基づき、渋谷の旗艦店にスタジオを設け、最新情報を発信している。

一方、ロート製薬は自社オンラインショップ内で、顧客とのコミュニケーションの深化を図っており、その一施策としてFireworkを導入。Webサイト上で「ロート ハートライブ」を実施した。購入履歴のある顧客向けに、イベントやメールでは応えきれないようなカジュアルな質問にライブで回答することで、顧客接点を強化する取り組みを始めたという。

店舗とオンラインの行き来を強化したいマツキヨココカラと、ファンとのつながりを強化したいロート製薬。目的の異なる両社は運用時の工夫も異なる。
ロート製薬は、製薬会社として顧客が期待する効能・効果を正しく伝えるため、実験形式のコンテンツをライブに取り入れ、信頼感を高めている。またライブ中に特定の視聴人数を突破するとプレゼント抽選を行うことで、通常の2倍以上の視聴者を集めたという。演者には、普段百貨店に勤務している店頭スタッフから開発者まで、幅広くアサインすることで、専門性を担保しているという。
一方マツキヨココカラは、リピーター獲得のため、曜日と時間を固定した週1回の定期配信を継続的に実施している。オンラインストアとSNSで同時配信し、店舗スタッフが出演することで現場の生の声が反映された配信を行っている。
今後の取り組みとして、マツキヨココカラは自社商品だけでなく、顧客からの要望に応え、メーカー横断型orブランド横断型の配信の実現を目指すと述べた。出演者の公募や自社PB商品を含む配信、メーカーと連携した取り組みも強化したい考えである。
ロート製薬は、KPIの持ち方やメンバーのモチベーション維持が課題であるとし、顧客ロイヤルティ調査でライブ配信の独自性があり、見る前後でロイヤルティが高まることを確認していると共有した。
売上だけでなく、顧客の気持ちの動きを定期的なアンケートで追跡し、プロジェクトメンバーと共有していく方針である。今後は、事前に撮影した動画も活用し、ライブと動画で目的を分けていく計画であると締めくくった。