SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

最新イベントはこちら!

ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

「実店舗の存在が圧倒的」も2年でEC売上2倍に PLAZA オンラインストアは社内をどう動かしたのか

リニューアル後の発見 ○○な顧客はLTVが高い

 PLAZAでは、2023年から約2年かけて、自社ECサイトのカートシステムを移行した。プロジェクトの初期から対応してきた中野氏は、システム部門との連携に苦労したという。

「『こんな自社ECサイトにしたい』という理想はたくさんありましたが、いざ実装してみると、思うようには機能しません。私はIT出身ではないため、専門用語の理解から始める必要がありました」(中野氏)

 中野氏は、システム部門と何度も対話を重ねながら、設計書のレビューや仕様のすり合わせを丁寧に行っていった。特に大きな変化として挙げられるのが、アクセス集中時の安定稼働だ。

 たとえば、人気キャラクターの限定商品を発売すると、実店舗だけでなく自社ECサイトにもファンが押しかける。過去には、アクセスに耐え切れずサーバーがダウンするケースもあった。リニューアル後の自社ECサイトでは、キャパシティが拡大。販売機会の損失を防ぐことで、売上が大きく伸びる日が増えている。

 加えて、顧客の行動データが可視化された。これにより、中野氏は「新たな発見があった」と話す。

「PLAZA全体の売上を見ると、化粧品の比率が高いです。しかし、自社ECサイト内の検索では、キャラクターグッズに関するキーワードが多く入力されていました。分析した結果、化粧品を探すお客様は、Googleをはじめ外部検索を経由して商品詳細ページに遷移しているとわかりました。それに対してキャラクターグッズの場合は、まず自社ECサイトに訪れてから商品を探すお客様が多いのです。お客様がどこから訪れ、何に関心をもっているのかが定量的に見えるようになったことで、より精度の高い施策の設計が可能となりました」(中野氏)

 また、新サイトでは顧客体験を高めるコンテンツの拡充も進行中だ。スタッフによる商品レビューやスタイリング投稿、Instagramの投稿といったUGCの活用が行われている。今後は特集記事など、トレンドを押さえているPLAZAだから作れるコンテンツを創出していく方針だという。

クリックすると拡大します
クリックすると拡大します

「過去の自社ECサイトでは、新商品を並べておくだけになりがちでした。これからは、“PLAZAで見る・買う理由”を作っていきたいです」(中野氏)

 新たな価値を発信しているPLAZAの自社ECサイトだが、リニューアルからまだ半年ほどしか経っていない。岡芹氏は「現時点で“箱”を整えた段階」と語る。この先の成長の鍵となるのは実店舗との相乗効果だ。

「新たに得られたデータによると、実店舗と自社ECサイトの両方を利用しているお客様のほうが、LTVが3倍高くなっています。つまり、当社の主軸である実店舗の売上を、自社ECサイトがさらに後押しできるということです。この事実を社内全体に伝えていきます」(岡芹氏)

 実店舗との相乗効果を高めるため、PLAZAでは「店舗受取サービス」の導入も進めている。顧客の買い回りや実店舗への来店動機を創出し、OMO化を引っ張っていく。

「他社でも同様の取り組みはあります。PLAZAらしさをどう届けていくかが、次のフェーズの課題です。まずは実店舗との連携サービスを始め、+αの付加価値を探っていきます」(中野氏)

「さらに、ギフトはオンライン・オフラインで共通した注力ポイントだと思います。近年は、ソーシャルギフトのように、オンラインで気軽にプレゼントを贈れるようになりました。この流れを活用すれば、実店舗と自社ECサイトの併用を自然に促す施策が生まれるはずです。そうした仕組み作りを通じて、“お客様の心拍数を上げる体験”を提供していきたいですね」(岡芹氏)

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
次なる顧客体験へ 大手企業の目線連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

山田優子(ヤマダ ユウコ)

神奈川県出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

ECzine(イーシージン)
https://eczine.jp/article/detail/16550 2025/05/14 07:00

Special Contents

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2025年6月12日(木)10:00~17:25

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング