「メルカリAds」で成果を出すには 出品商品との差別化が鍵
この数ヵ月の広告トレンドの中で、田中氏が特に注目しているのが2025年2月に本格スタートした「メルカリAds」だ。フリマアプリ「メルカリ」における商品検索の結果画面に、顧客の検索キーワードと合致した広告を表示できる。そのメリットを、田中氏はこう説明する。
「コマースメディアの最たる例といって良いでしょう。興味関心が顕在化している顧客に向けて効率的にアプローチできる点で、効果に期待がもてます」
一方で、注意しなければならない点があるのも事実だ。CtoCプラットフォームであるメルカリでは、新品かつ未開封の商品が公式サイトより安価で販売されるケースが珍しくない。そのため、同プラットフォームで広告を配信しても、同様の商品がより低価格で販売されていれば、顧客が安いほうを選ぶ可能性がある。
「成果を上げるには、メルカリで販売されている商品と併せて購入してもらう戦略が求められます。たとえば、食品を訴求するなどです。安全面や衛生上の観点から『個人ではなく企業から購入したい』という需要もあるはず。食品と相性の良い商品が出品された一覧ページに広告を表示できれば、差別化しながら相乗効果も得られると考えられます。
なお、新しいかつ国内では珍しいタイプの配信面だからこそ、成功事例が現れるまで慎重に待つのも一つの手です。単に配信面が増えたからといってすぐに出稿すると、想定より売上につながらず、費用対効果が見合わなくなるでしょう」
メルカリAdsには、外部サイトへ誘導するオフサイト広告、「メルカリShops」の商品が表示されやすくなるオンサイト広告の2種類ある。そのうち、主にEC事業者向けとされているのがオフサイト広告の「Product Ads」だ。商品データフィードの連携により、メルカリに並ぶ他商品と同様のクリエイティブで広告を配信できる。顧客が広告をタップすると、出稿側が指定した自社ECサイトなどに遷移する仕組みだ。
「Google ショッピング広告のようなイメージです。顧客ニーズに合わせて広告を配信するため、クリック率は比較的高いと予測できます。とはいえ、メルカリの決済サービス『メルペイ』を利用している顧客は、同プラットフォーム内で買い物を済ませたいと考えるのではないでしょうか。『メルペイが利用できないかもしれない』という理由で、外部サイトに遷移しない人も少なくないはずです」
こうしたハードルが残っているメルカリAdsだが、田中氏は「相性が良い商材は必ず存在する」とも話す。
「他社の出稿状況や事例を確認しながら、自社が配信するタイミングと戦略を今のうちから検討しておきましょう」