マイナスイメージを与える可能性も 情報発信の落とし穴
続いて五月女氏と坂本氏は、具体的な配信および投稿内容に話を進めた。
ユミルリンクは、同調査で「どのような時にメルマガ・SNSでマイナスな印象を受けるか」についても質問している。その結果「投稿頻度が多い」が36.0%、「投稿がおもしろくない」が37.7%で上位となった。

メルマガで自分が求めていない情報ばかりが大量に配信され、煩わしく感じた経験がある人は多いだろう。また、SNSのフィードに毎日同じような投稿だけが流れると、顧客が新鮮味を感じず興味を失うと予測できる。
「たとえば、ショート動画は長さやテンポ感が丁度良くなければ『つまらない』と判断される可能性があります。投稿の質を上げるには、フォロワーがどの程度反応しているのかなど、データによる分析が不可欠です。そのフローをないがしろにすると、マイナスイメージを自ら与えることになりかねません」(坂本氏)
では、顧客に満足してもらえる、かつUGC創出を促すコミュニケーションとはどのようなものなのか。五月女氏と坂本氏が調査結果を基に考察した。
同調査では、企業が開催するSNSの「投稿企画」に40%以上もの顧客が参加しているとわかっている。その理由として多く挙げられていたのが「参加者特典があったから」だ。つまり、魅力的な特典を用意するのが有効だと考えられる。


「UGCをゼロから生み出すには、やはりキャンペーンなどの企画が必要です。数十投稿でもUGCが集まれば、日々の投稿や同梱チラシで周知していきます。すると、他のお客様がレビューなどを投稿するハードルが下がり、自然とUGCが生まれやすくなるでしょう。
投稿の代わりにお客様に特典を付与する場合は、自社商品やサービスの体験などをプレゼントします。たとえば、私が支援している食品メーカーは、SNS上で応募した人に自社のチーズを贈るキャンペーン企画を実施しました。自社商品を訴求できる上に、チーズが嫌いな人は応募しないため、今後も購入してくれる可能性が高いお客様が集まりやすいです」(坂本氏)
「単に物が欲しい人ではなく、自社商品に興味を示している人にアプローチする企画作りが重要だといえます」(五月女氏)
ここまで五月女氏と坂本氏が解説してきたように、メルマガとSNSで集客や購買を実現するには、各チャネルの特性を生かした施策が必要となる。発信内容や企画を磨き込めば、リピート購入するファンの創出にもつながるだろう。五月女氏は最後に改めてこうしたコミュニケーションの重要性を強調し、セッションを終えた。
「メルマガとSNSは、掛け合わせることでLTV向上に大きく貢献します。地道な作業ですが、PDCAを回していけばEC売上の向上が期待できるでしょう。まだ、SNSを活用した新規顧客へのアプローチやかご落ちメールといったフォローアップ施策を行っていない場合は、ぜひ挑戦してみてください」(五月女氏)