本当のオムニチャネル実現にAIがどう貢献できるか
──これまでの経歴と現在の役割を教えてください。
Bucher 私は、統合型コマースプラットフォーム「Commerce Cloud」のチームに7年間在籍し、現在は新たにジェネラルマネージャーを務めています。直近の4年間は、BtoC向けのECサービスを統括し、製品開発の戦略・計画策定を手掛けてきました。
当社が目指すのは、企業が統合された顧客体験を提供し、収益を拡大できる環境作りです。そんな次世代型のEC運営を推進するために、営業活動やマーケティング、製品開発の連携に重きをおいています。
──世界中の企業を支援する中で発見した顧客体験向上のポイント、コミュニケーションの取り方はありますか。
Bucher 近年の重要なトレンドの一つは、シームレスなオムニチャネル体験の創出です。消費者からの需要が非常に高いと感じています。
彼らは、ECサイトをはじめ、オンライン上のチャネルから実店舗までの全タッチポイントで、一貫性のあるブランド体験を求めています。それも、パーソナライズされた体験です。
こうした背景から、Commerce Cloudは企業が持つデータを活用するプラットフォーム「Data Cloud」との連携も行っています。複数のチャネルから得られる顧客データを統合する必要があるからです。これによって、顧客一人ひとりに対して各チャネルで適切な商品をレコメンドする仕組みが整えられます。
──AIとデータ活用の二つの要素が、次世代型のEC運営にどう寄与するのでしょうか。
Bucher 当社は、2024年10月より、日本で自律型AIエージェント「Agentforce」の提供を開始しました。Agentforceは、製品に関する質問に回答するなど、様々なチャネルで24時間365日、自然言語で自律的に対応できる機能を備えています。
同エージェントを含めて、当社はAI×データの機能アップデートを継続的に行ってきました。これは、消費者の求める一貫した体験創出において非常に重要だといえるでしょう。膨大な顧客データを分析することで、AIエージェントはパーソナライズされたレコメンデーションを行えます。顧客がどこで買い物をしていても、シームレスな体験の提供を後押しするのです。