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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzineニュース

2035年の国内通販市場規模は17.7兆円規模に ネットスーパーは継続利用率向上が課題/富士経済調査

 富士経済は、通販市場の最新動向について、調査結果を発表した。

 同調査では、ECをはじめとした通販市場の最新動向を調査し、通販形態別や商品分野別に将来を展望。また、2024年問題として注目される物流や、決済・ポイントサービスの動向についても分析している。概要は次のとおり。

国内の通販市場(物販)

 新型コロナウイルス感染症流行による巣ごもり消費により、2020年に大きく拡大した市場は、2021年、2022年も堅調な伸びが続いていたが、2023年は顕著な店頭回帰により、伸び率は鈍化。しかし、コロナ禍で獲得したユーザーが定着し、拡大は続いた。また、メーカーや流通業者も消費者の動きを踏まえてECを中心とした通販事業への注力レベルを高めており、市場は今後も成長が続くとみられる。

 EC市場は、Amazon.co.jpや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどといった大手仮想ショッピングモールの成長や、カタログ通販やテレビ通販からのシフトによって市場拡大が続いてきたが、コロナ禍を契機に生鮮品や消耗品をECで購入する消費者が増え、利便性の認知から日常的な取引方法として定着。2023年の本格的な店頭回帰以降も、ユーザーの定着と小売企業によるO2O(Online to Offline)施策などといった、ECへの送客推進により、伸びは続いた。同調査では、カタログを見てスマートフォンで注文するなど、最終的にPC・スマートフォン・タブレットから発注されるものはECに含んでいるとのこと。

 仮想ショッピングモールでは、商品ラインアップの拡充に加え、楽天・PayPayなどポイント経済圏の共通ポイント・IDなどによって、グループ内サービスの相互利用促進や購入時の第一想起を目指す取り組みが進められている。また、家電量販店など特定ジャンルに強みを持つ企業で通販事業が強化されているほか、大手事業者が手掛けていないニッチなカテゴリーに特化した専門ECサイトや、サブスクモデルなどの多様化も進み、成長を後押ししているという。

 これまで、店頭販売の強みであった即時購入や店員とのコミュニケーションにについても、即日・翌日配送やAR・VR技術を用いた商品シミュレーション、チャットやライブコマース対応が進んでいる。こうした対応やメーカー・通販事業者におけるECの注力度を踏まえても、ECは今後も消費者にとって主要な購入手段の一つとして拡大すると見て、同調査では2035年の市場規模を17兆7,668億円と予測している。

 「カタログ、テレビ、ラジオ、その他」の市場規模減少については、メインユーザーであるシニア層を含めた消費者のECシフトや、通販事業者自身もコスト削減のためにカタログの発行部数を減らし、SNSマーケティングやライブコマースなどを活用したECへの移行を進めていることから、長期的には縮小すると予想している。同市場は、コロナ禍の影響により2020年には前年を上回ったが、2021年以降は再び縮小に転じている。そのため、同調査では2035年の市場規模を2023年比11.2%減の1兆5,513億円と予測している。

対象9分野の物販市場におけるEC化率

 物販市場は、調査対象にある商品カテゴリーのうち「その他」を除く9分野を対象とし、店頭販売も含めた物販市場におけるEC化率が算出されている。2019年時点で10.9%だったEC化率は、新型コロナウイルス感染症流行の影響から消費者・事業者双方のEC活用意向が高まったことにより、2020年に13.3%へと上昇。2021年以降は、コロナ禍に獲得したユーザーへ価値やEC利用そのものが浸透する一方で、外出機会の増加による店頭回帰の影響から伸びは鈍化した。

 しかし、消費者が商品を購入するチャネルとしてECの優先度を高めていることや、通販事業者によるオンライン・オフラインの相互送客による顧客囲い込みの強化などから、今後もEC化率は高まると予想されている。

 商品カテゴリー別では、コロナ禍により、以前はEC化が進んでいなかった食品・生鮮品での仮想ショッピングモール、ネットスーパー利用が急増。新型コロナウイルス感染症の流行収束を受けて伸び率は落ち着いたものの、定期便サービスの導入や、地場スーパーのネットスーパー参入などの動きは引き続き活発であることから、着実に今後もEC化率は上昇すると見られている。

注目市場

ネットスーパー

 流通系企業が店頭展開している商品を自社物流で配送するECサービス(店舗発送が基本であるが補助的にセンター発送をおこなうサービスも含む)を対象とした同カテゴリーは、コロナ禍を契機に利用者数、利用頻度、客単価が大幅に増加。2022年に需要の急増は一段落したが、飲料や米など日常的に消費され、重量があり、かつ買い置きに適した品を中心に市場は堅調に拡大している。外出機会が増加して以降は、自宅外からのスマートフォンでの注文が増加し、2023年の行動制限が解除以降も、ネットスーパーの利便性の浸透、共働き世帯の増加、核家族化といった現代のライフスタイルに合致したサービスとして引き続き市場は成長している。

 近年は、楽天グループが提供する「楽天全国スーパー」や10Xが提供する「Stailer」など、ネットスーパー事業を支援するプラットフォームや流通企業向けサービスの活用により、事業規模やエリアを問わない新規参入が活発化している。人口カバー率も向上しており、2025年の市場は2023年比22.0%増の3,710億円になると同社は予測している。

 ただし、ネットスーパーはスポット利用を主体とするビジネスモデルであるため、継続利用率が低いことが課題の一つとなっている。収益確保に向け、ミールキットの取扱強化や定期購入サービスなど、継続利用を促す対策が必要との見解が同調査では述べられている。

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